子どもと話をしているとき、つい自分ばかり話してしまうことはありませんか?
子どもが困っていると、すぐに答えを教えたくなったり、
うまく説明できないと、先回りして言葉を補ってしまったり。
教師をしていると、そんな場面がよくあると思います。
もちろん、子どもに知識を伝えたり、必要なことを指導したりするのは、教師の大切な役割です。
でも、子どもの話をじっくり聴き、その思いを理解しようとすることは
それ以上に大切だと感じています。
今回参考にしたのは、
安達裕哉さんの『頭のいい人が話す前に考えていること』です。
本書では、知性と信頼を同時にもたらす「7つの黄金法則」と
思考を深めるための「5つの思考法」が紹介されています。
読んでいて、特に印象に残ったのは、
頭のいい人は、ただ知識が豊富だったり、話が上手だったりするわけではない
ということです。
相手の話をよく聴き
相手の立場に立って考え
どんな言葉を届けるかを大切に
しています。
これらは、教師と子どもの関係にも通じることだと思いました🍀
そこで今回は、
『頭のいい人が話す前に考えていること』を読みながら感じた
「教師として大切にしたいこと」を4つに整理してみました。
参考書籍
質問で子どもの思いを言語化せよ
本書の第2部には、「ちゃんと考える前に、ちゃんと聞こう」というテーマがあります。
ここで大切にされているのが、相手の話をしっかり聴くことです。
私たちは、相手の話を聴いているつもりでも、
いつの間にか
「次に何を話そうか」
と考えてしまうことがあります。
でも、それでは本当に相手の話を聴いているとはいえないのかもしれません…
これは、子どもとの関わりでも同じです。
例えば、友達とのトラブルで怒っている子どもがいたとします。
そんなとき、つい
「どうしてそんなことをしたの?」
「相手に謝りなさい」
と声をかけてしまうことはありませんか?
もちろん、必要な指導ではあります。
ただ、子ども自身が
何に困っていたのか
どんな気持ちだったのか
を整理できていなければ、なかなかうまく答えられないこともあります。
そんなときこそ、まずは子どもの話を聴くことから始めたいですね。
例えば、こんな質問が考えられます。
- 「何があったの?」
- 「そのとき、どんな気持ちだった?」
- 「本当はどうしてほしかったのかな?」
- 「次はどうしたらよさそう?」
本書では、相手の話を深く聴くために、質問の前に仮説を立てることも紹介されています。
これを子どもとの関わりに置き換えてみます。
例えば、「友達に仲間に入れてほしかったのかな?」と考えたとします。
でも、そこで決めつけるのではなく、
「本当は一緒に遊びたかった?それとも、別の理由があった?」
と確かめてみるのです。
教師の思い込みで子どもの気持ちを決めつけないことが大切ですね。
また、本書の第5章では、考えを整理して言葉にする「言語化」の思考法も紹介されています。
これは、子どもにも当てはまると思います。
自分の気持ちを言葉にすることが苦手な子どももいます。
そんなとき、教師が質問したり、言葉を補ったりすることで、少しずつ自分の思いに気づけることがあります。
教師が答えを教えるのではなく、質問を通して子ども自身の答えを引き出す。
そんな関わりを大切にしたいと思います。
言葉の定義に敏感であれ
本書の第2部、第1章では「客観視」の思考法が紹介されています。
その中で印象に残ったのが、**「言葉に敏感たれ」**という考え方です。
私たちは、普段から何気なく言葉を使っています。
でも、同じ言葉を使っていても、人によってイメージしていることが違う場合があります。
例えば、「管理」という言葉。
人によって、思い浮かべる内容は異なるかもしれません。
これは、学校現場でもよくあることだと思います。
例えば、子どもに「ちゃんと片づけてね」と伝えたとします。
でも、子どもにとっての「ちゃんと」と、教師が考える「ちゃんと」は同じでしょうか。
机の上をきれいにすることなのか、道具を決められた場所に戻すことなのか。
言葉だけでは、具体的な行動まで伝わっていないこともあります。
教師同士の会話でも同じです。
- 「主体的に学ぶ子どもを育てたい」
- 「落ち着いて学習できる環境をつくりたい」
- 「一人ひとりに応じた支援をしたい」
どれも大切な言葉ですが、具体的にどのような子どもの姿を目指しているのかは、人によって違うかもしれません。
だからこそ、言葉の意味を具体的にし、共通理解を図ることが大切なのだと思います。
また、言葉に敏感になるということは、自分の思い込みに気づくことにもつながります。
例えば、「あの子は、いつもふざけている」と感じたとします。
でも、本当にいつもふざけているのでしょうか。
もしかすると、授業で分からないことがあったときや、友達との関わりに困っているときに、ふざけるような行動が見られるのかもしれません。
目の前の行動だけで、その子の性格や能力を決めつけてしまうのは、少しもったいないですよね。
事実と自分の解釈を分けて考え、子どもの姿を客観的に捉える。
言葉に敏感になることは、子どもを理解するための第一歩なのだと思います。
『知らないふり』で子どもの知性を育む
本書の第1部には、「知識が『知性』に変わるとき」というテーマがあります。
その中で、特に印象に残ったのが、**「頭のいい人は『賢いふり』ではなく『知らないふり』をする」**という考え方です。
本書では、知識をひけらかすのではなく、相手の話を聴き、相手のために知識を使うことの大切さが語られています。
人は、自分の知っていることを誰かに教えたくなるものです。
特に教師は、子どもに教えることが仕事です。
子どもが困っていると、つい正解や解決方法を教えたくなりますよね。
でも、いつも教師が答えを教えてしまってよいのでしょうか。
例えば、算数の問題が解けずに困っている子どもがいたとします。
すぐに正しい解き方を教えるのではなく、
- 「どこまで分かった?」
- 「今、どんな方法を試しているの?」
- 「ほかの方法でもできそうかな?」
- 「どうして、その方法で解けると思った?」
と問いかけてみます。
すると、子どもは自分の考えを整理したり、別の方法を試したりするかもしれません。
もちろん、必要な知識やヒントを与えることも大切です。
特に、考えることが難しい子どもには、具体物や写真、選択肢などを使って、考えるための手がかりを用意する必要があります。
ここでいう「知らないふり」は、何でも子どもに任せることではありません。
教師がすぐに答えを教えず、子ども自身が考える余地を残すことだと捉えています。
教師が知っていることをすべて教えるのではなく、子どもの学びに必要な形で知識を使う。
教師の知識は、子どもに勝つためでも、賢く見せるためでもありません。
子どもの成長を支えるためにあるのだと思います。
そんなことを改めて感じました。
子どもは、ちゃんと考えてくれている教師を信頼する
本書の第1部には、「頭のいい人は、論破しない」という黄金法則があります。
また、「承認欲求をコントロールできる者がコミュニケーションの強者になれる」という考え方も紹介されています。
どちらにも共通しているのは、自分の正しさを押し通すのではなく、相手のことを考える姿勢だと思います。
これは、教師と子どもの関係にも深くつながっています。
例えば、子どもが教師の指示に従わなかったとします。
そんなとき、ついこんな言葉をかけてしまうことはありませんか?
「先生の言うことを聞きなさい!」
「何度言ったら分かるの?」
「みんなできているよ!」
教師としては、正しいことを伝えているつもりかもしれません。
でも、それだけで子どもが納得できるとは限りません。
本書の「論破しない」という考え方を、子どもとの関わりにも生かしたいと思います。
教師の役割は、子どもとのやり取りに勝つことではありません。
子どもを言い負かしたり、無理に自分の考えを受け入れさせたりすることでもありません。
大切なのは、子どもの行動の背景にある思いや困りごとを理解し、よりよい方法を一緒に考えることです。
例えば、指示に従わない子どもに対しても、
「今、何か困っていることがある?」
「どうすれば取り組めそうかな?」
と尋ねてみることができます。
もちろん、危険な行動や友達を傷つける行動には、きちんと止める指導が必要です。
ただ、行動を止めることと、子ども自身を否定することは違いますよね。
もう一つ、印象に残ったのが「承認欲求をコントロールする」という考え方です。
教師も一人の人間です。
子どもに言うことを聞いてほしい。
自分の指導が正しいと分かってほしい。
そんな思いが生まれることもあると思います。
でも、その思いが強くなりすぎると、いつの間にか子どものためではなく、自分のために話してしまうことがあるかもしれません。
そんなときこそ、少し立ち止まって考えたいですね。
「今、自分が伝えようとしている言葉は、本当にこの子のためになるのだろうか?」
「自分の正しさを認めてもらいたいだけではないだろうか?」
こうした問いかけは、自分自身の関わり方を振り返るきっかけになります。
子どもの話を聴き、思いを理解しようとする。
必要なことはきちんと伝えながら、一緒に考える。
そんな関わりを積み重ねることで、子どもは「この先生は、自分のことをちゃんと考えてくれている」と感じるのではないでしょうか。
信頼関係は、上手な話し方だけで生まれるものではありません。自分のことを真剣に考えてくれているという実感が大切なのだと思います。
最後に
今回は、『頭のいい人が話す前に考えていること』を読んで、教師として大切にしたいことを整理してみました。
特に、日々の実践で意識したいのは次の4つです。
- 質問で子どもの思いを言語化する。 子どもの話をよく聴き、質問を通して自分の気持ちや考えに気づけるようにする。
- 言葉の定義に敏感になる。 曖昧な言葉や自分の思い込みで判断せず、具体的な事実や行動を大切にする。
- 知らないふりで子どもの知性を育む。 すぐに答えを教えるのではなく、子ども自身が考える機会をつくる。
- 子どものことを真剣に考える。 自分の正しさを押し通すのではなく、子どもの立場に立って言葉を選ぶ。
教師という仕事をしていると、どうしても「何を教えるか」「どう指導するか」に意識が向きがちです。
もちろん、それらはとても大切なことです。
でも、子どもとの関係においては、何を話すか以上に、話す前に何を考えているかが大切なのかもしれません。
子どもの話を最後まで聴く。
すぐに答えを与えず、一緒に考える。
自分の言葉が子どもにどう伝わるかを想像する。
そして、子どもの行動の背景にある思いを理解しようとする。
こうした小さな積み重ねが、子どもの学びや成長を支えていくのだと思います。
私たち教師も完璧ではありません。
忙しさから、つい感情的になってしまう日もありますし、子どもの気持ちを十分に理解できないこともあります。
だからこそ、話す前に少し立ち止まって考えてみたいですね。
「この言葉は、本当にこの子のためになるのだろうか?」
そんな問いを自分自身に投げかけながら、子どもと向き合っていきたいと思います✨
参考書籍


コメント