「良いチームって、最初から自然にできるものなんじゃないの?」
そんなふうに感じたことはありませんか。
でも実際は、どんなチームも最初からうまくいくわけではありません。
学校の学級づくりも、職場のチームも、部活動も、家庭も、最初は少しぎこちなくて当たり前です。
むしろ、うまくいくチームほど、一度はぶつかり合ったり、迷ったりしながら成長していきます。
その「チームが育つ流れ」をわかりやすく整理した考え方が、タックマンモデルです。
このモデルを知ると、今のチームの状態が見えやすくなります。
「なんだか空気が重い」
「意見がぶつかる」
「最近、急にまとまってきた」
そんな出来事も、「今は成長のこの段階なんだな」と受け止められるようになります。
今回は以下の文献を参考に、心理学の視点から、タックマンモデルをやさしく解説していきます。
【参考文献】
タックマンモデルとは?
タックマンモデルとは、心理学者 ブルース・W・タックマン が提唱した、「チームは段階を踏んで成長する」という考え方です。
タックマンは、チームづくりを植物の成長のように考えました。
種をまいた瞬間に花は咲きません。
水をあげ、時間をかけ、時には環境を整えながら育っていきます。
チームも同じです。
タックマンモデルでは、チームは次の5つの段階を進むとされています。
①形成期(Forming)
②混乱期(Storming)
③統一期(Norming)
④機能期(Performing)
⑤散会期(Adjourning)
ポイントは、「途中でうまくいかない時期があるのが普通」ということです。
意見が合わない。
空気が悪い。
まとまらない。
そんな時期は、失敗ではありません。
むしろ、チームが本当の意味で育つための大切な時間なのです。
形成期
形成期は、チームがスタートしたばかりの時期です。
新しいクラス、新しい職場、新しい学年団、新しいプロジェクト。
そんな「はじめまして」が集まる時期です。
この時期のメンバーは、意外と緊張しています。
表面的には穏やかでも、心の中では、
「どんな人なんだろう?」
「ここではどう動けばいい?」
「どこまで発言して大丈夫かな?」
そんなふうに周囲を観察しています。
まだ関係が浅いので、大きな衝突は起こりにくい反面、本音も見えにくい時期です。
ここで大切なのは、成果を急がないことです。
まずは安心して関われる土台づくり。
例えば、
・自己紹介や雑談の時間をつくる
・役割や目標を共有する
・小さな成功体験を積む
・「話しても大丈夫」という空気をつくる
こうした積み重ねが、後のチームづくりを支えます。
学校でも、4月は学習以上に関係づくりが大事だったりします。
混乱期
形成期の次にやってくるのが、少ししんどい時期です。
それが混乱期です。
お互いに慣れてくると、本音や違いが見えてきます。
すると、
「そのやり方は違うと思う」
「なんで私ばかり?」
「もっとこうした方がいいのに」
そんな思いが出てきます。
ここで「うまくいっていない」と感じる人は少なくありません。
でも実は、ここがすごく大事です。
なぜなら、チームは違いを経験しないと深くつながれないからです。
本音を出して、調整して、理解し合う。
そのプロセスがあるから、関係が育ちます。
混乱期に大切なのは、
・違いを否定しない
・対話する
・目的に立ち返る
・役割を見直す
ことです。
学級経営でも、「荒れ」が起きたから失敗ではありません。
関係が変化しているサインかもしれません。
統一期
混乱期を乗り越えると、少しずつ空気が変わります。
それが統一期です。
この頃になると、
「この人はこういう考え方なんだ」
「困ったら相談できる」
「多少意見が違っても大丈夫」
そんな安心感が生まれてきます。
面白いのは、ここから急にチームらしくなることです。
誰かが言わなくても、
「手伝おうか?」
「今回は私がやるよ」
そんな自然な動きが出てきます。
一方で、仲が良くなるほど気をつけたいこともあります。
それは、「空気を読みすぎること」。
遠慮しすぎて新しい意見が出なくなると、チームは成長しにくくなります。
安心して違いを出せる関係が理想です。
機能期
ここまで来ると、チームはかなり強くなっています。
機能期は、チーム全体が自然に成果を出せる状態です。
特徴としては、
・役割分担が自然にできる
・困りごとを助け合える
・自分で考えて動ける
・目標を共有できている
という状態です。
機能期のチームは、不思議と「全員が同じ」ではありません。
むしろ、違いを活かしています。
得意な人が前に出て、苦手な人を支える。
必要な時は役割も柔軟に変わる。
そんな循環ができています。
学校なら、先生が細かく指示しなくても子どもたち同士で動ける学級。
職場なら、上司がいなくても自然に回るチーム。
そんな姿が機能期です。
散会期
最後は散会期です。
チームには、始まりがあるように終わりもあります。
卒業、異動、プロジェクト終了。
終わることは寂しいですが、実はここも大切な時間です。
この時期には、
「どんなことを頑張った?」
「何が成長した?」
「誰に感謝したい?」
そんな振り返りをすると、経験が次につながります。
特に教育現場では、終わり方が子どもの自己肯定感や次の挑戦への意欲に影響します。
「楽しかった」で終わるだけでなく、
「ここでこんな力が育った」
そう感じられる時間にしたいですね。
さいごに
タックマンモデルは、「チームづくりの取扱説明書」のような考え方です。
出会って、少しぶつかって、理解し合って、一緒に成果を出して、次へ進む。
どの段階にも意味があります。
だから、今もしチームがぎくしゃくしていたとしても、すぐに「失敗だ」と決めなくて大丈夫です。
もしかすると今は、チームになる途中なのかもしれません。
人が集まるだけではチームにはなりません。
でも、人が関わり続けることで、少しずつ「私たち」になっていきます。
その変化こそが、チームづくりの面白さなのだと思います。
【参考文献】


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