自閉症のある子の支援で大切なことを、イギリスの自閉症協会は
🍀SPELL🍀
というキーワードで紹介しています。
以下の5つの言葉の頭文字をとったものです↓
🍀Structure( 構造化)
情報をわかりやすく提示
☑ なにを・いつまで・どれくらい?視覚的にわかりやすく提示
☑文字?イラスト?写真?その子にとってわかりやすい視覚支援
🍀Positive( 肯定的 )
自己肯定感を高める
☑ できなかったときの「罰」では なくできたときに「褒める」関り
☑「走らない」ではなく「歩こう」肯定的かつ具体的な声かけ
🍀Empathy( 共感性 )
本人目線で支援する
☑どのような感じ方・考え方をし、行動するのかを理解する
☑本人と一緒にサポートの内容を相談しながら決めていく
🍀Low arousal( 刺激の低減 )
低刺激な環境づくり
☑ 圧迫感のない声のトーン、表情、 態度で接する
☑ 音や光などストレスとなる刺激が軽減するように環境調整をする
🍀Links( 連携 )
一貫性のあるサポートをチームで
☑本人・保護者・先生がひとりで抱え込むことがないよう、家庭・学校・医療・福祉などが協力しながら、本人中心に一貫性のあるサポートをする
以下の文献を参考にしながら、詳しく解説していきます。
🍀Structure( 構造化)
自閉症のある子の認知スタイルは『木を見て森を見ない』と言われています。一部分を集中的に見てしまい、全体を俯瞰して見るのが苦手な場合が多いです。
つまり、たくさんの情報から要点を把握し、必要な情報と不要な情報を取捨選択することが苦手な場合が多いです。(定型発達の人は無意識に必要な情報のみを取り込んでいる)
自閉症のある子にとって、目に入るもの、耳に入るもの、肌に感じるものなど情報が多いほど、周囲の世界は混沌とし、不安に満ちた状態になってしまいます。
空間を整える
空間的な構造化を行うことは、視覚支援を行うことでもあります。
ものを片付ける場所、提出する場所、移動する場所などを文字やイラストで見てわかるようにすることです。
ご家庭や園と比較し、自分の机・席・ロッカーなどが明確な学校の方が構造化がしやすく、見通しがもちやすい空間を作りやすいですね。
時間を見える化
物には輪郭がありますが、時間には輪郭がありません。しかし、集団生活において、誰かと行動を共にするためには、時間を区切る必要があります。
学校では、チャイムによって時間が区切られ、次の活動へと移っていきます。
何かに没頭すると時間を忘れて集中する子、切り替えが難しい子にとって、チャイムにより活動が中断されることが受け入れられない場合があります。
デジタルタイマーやタイムタイマーなどで残り時間に見通しをもたせることが大切です⏱
板書の工夫
学校では、黒板や白板を使って授業をするスタイルがまだまだ主流ですね。
板書に少し工夫を凝らすだけで、自閉症がある子もない子も
みんなが分かりやすい板書にすることができます
① 学習の流れを明記し、今どこかわかるように
② 型を決めて色で囲む(課題は黄 まとめは赤 振り返りは青など)→全て書くことが困難な場合、黄と赤で囲んだところだけ書くなどの配慮✨
③ 黒板周辺はスッキリと(余計な掲示物・情報は横か後ろへ)
ぜひ教室の環境を一度見直してみて下さい✏️
🍀Positive( 肯定的 )
子どもの実態を把握
(強み・興味・関心など)
↓
強みを活かした支援・環境調整
↓
自尊感情の向上
行動上の問題がある子の場合、どうしてもできないことの方に目が行きがちになります。(切り替えが難しい、こだわりが強い、社会性・コミュニケーションが苦手など)
リフレーミング(ネガティブな見方をポジティブに変えること)してみましょう✨
〈例〉
こだわりが強い → 一つのことに集中し極める(専門家)・
字義通りに受け止める → 裏表がない素直さ、正直さがある
うんちくを語ると止まらない → 物知り
教師がポジティブな見方で接していると、周りの子も不思議とポジティブな関わりをしてくれるようになります✨(その反対も然り😅)
強い面を理解し、活躍の場を作ることが大切ですね🍀
🍀Empathy( 共感性 )
「自閉症のある子は共感性が乏しい」
と感じておられる方もいらっしゃるかもしれませんが、私は決してそんなことはないと思います。
実際に、自閉症傾向の子同士では共感しながらコミュニケーションを図っている場面を何度も見たことがあります。
いわゆる定型発達の子たちとはコミュニケーションや思考・認識の方法が異なることがありますが、それを「共感性が乏しい」というのは、あまりにも乱暴だと思います。
今はマイノリティな自閉症ですが
数十年後には、マイノリティが逆転している可能性も否定できません。
そんな未来では、現在のいわゆる定型発達の子たちがマイノリティになり
「共感性が乏しい」と言われることになります。
「マジョリティの共感方法を強要する」よりも
「マイノリティの共感方法を理解する」ことが適切な支援や配慮ではないかと私は思います
🍀Low arousal( 刺激の低減 )
自閉症のある子は、聴覚過敏(鈍麻)や視覚過敏(鈍麻)など、感覚の特性がある場合が多いです。
刺激を必要以上に感じてしまう場合、刺激が不安に繋がり落ち着いいて学習したり、コミュニケーションを取ったりすることが困難になります。
一方、刺激を感じにくい場合、刺激を求めて自己刺激(立ち歩き・飛び跳ねる・クルクル回る・叫ぶなど)したり、注意が散漫になったりすることがあります。
環境の調整をすること、効果的なグッズを活用することをおすすめします✨
【環境調整】
・黒板周りをスッキリと
・明るさの調整
・座席の配慮
・学習規律を見える化 etc…
【合理的配慮】
・イヤーマフ、耳栓の使用を許可(聴覚)
・サングラスの使用を許可 (視覚)
・座席にバランスクッション(前庭覚)
・スクイーズ ボールやプッシュポップなどの感覚刺激グッズの使用許可(触覚) etc…
🍀Links( 連携 )
自閉症のある子に限らず、子どもの支援では以下のようなサイクルが大切です。
家庭・学校・専門家が情報を共有
↓
効果的な支援方法を考える
↓
学校・家庭で同じ支援をする
↓
支援方法の見直し、改善をする
私は、特別支援教育の専門家として学校へ訪問し、授業中・休み時間の行動観察をしたり、知能検査を実施したりして、適切な支援方法について保護者の方や担任の先生方と一緒に考えさせていただいています。
困難を示している子たちが、少しでも過ごしやすい環境で、成功体験を積み、自信をもてるように、これからも尽力いたします💪
最後までお読みいただき、ありがとうございました✨
いつも、記事を読んでくださり本当にありがとうございます🍀
この記事を読まれた方が、
少しでも『 ASD(自閉症スペクトラム症)のある子への支援』について理解を深めていただき、少しでもお役に立てれば嬉しいです🌈
今後もできる限り有益な記事を書いていきますので、よろしくお願いします✨
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