聴覚情報処理障がいAPD(Auditory Processing Disorder)とは
『聞こえるけど、聞き取りにくい』👂
という症状のことです。
具体的には
・音や声は聞こえるが、うるさい環境では聞き取れない
・早口は小さい声は聞き取れない
・話が長くなると話の内容がわからなくなる
・聞き返しや聞き間違いが多い
などの症状がありますが、通常の聴力検査では異常が見つからないことがほとんどです。
これらの症状の原因は、耳から入ってきた音声情報を、脳が言葉として処理する過程に何らかの問題が生じていると考えられています。
多くは生まれつきのものですが、脳の損傷や心理的な要因が影響することもあります。
今回は、APD(聴覚情報処理障害)について、その原因と適切な配慮・支援について一緒に考えていきましょう💪
聴き取り👂に必要な5つの要素
耳で聞こえた音👂を言葉として聴き取るためには、5つ力が必要だと考えられています。
注意(集中力)
耳に流れてきた、たくさんの音の中から、注意を向けた音だけを言葉として認識する必要があります。
注意には以下の4タイプがあると言われています。どれが欠けてもAPDの症状につながります。
① 選択的注意
感覚機関が捉えた情報のどれに注意を向けるか、選び取る力
② 持続的注意
注意を持続させる力=集中力
③ 分配的注意
いくつかのことに同時に注意を向ける力
④ 注意の転換
注意の対象を適宜切り替える力
🍀知識(語彙力)
知らない単語が多い「外国語」が聞き取れないように、日本語でも単語の意味がわからないと、言葉として聴き取ることができません。「今のどういう意味?」などと考えているうちに話がどんどん進み、聞き取れなかったという結果になることがあります。日頃から語彙を増やしていくことが大切です。
🍀記憶(ワーキングメモリ)
相手の話の文脈を理解し正確に聴き取るには、一部を記憶しながら聞く力が必要です。ワーキングメモリは作業記憶とも呼ばれ、目や耳から入った情報を一時的に記憶して、頭の中で作業する(文脈を判断し相手の話を理解する)のに必要な力です。
🍀推測(理解力)
話の一部を聞き漏らしたり、知らない単語が出てきたときに「おそらくこういう意味だろう」と前後の文脈から推測して聴き取る力が必要です。
🍀覚醒水準
覚醒水準とは、脳の働き具合のことです。睡眠不足や疲労などにより脳の覚醒水準が下がると、意識がぼんやりして、聴き取りに必要な要素を満たすための脳の働きが低下し、結果的に聞き取りにくさが生じます。適切な休息が大切ですね🍀
聴き取る力👂を高める5つの対応
APDを招く要因は様々であり、背景にあるもの(発達特性など)は変えられないこともあります。
しかし、適切に対応することで症状を軽減することはできます🍀
🍀意識を変える
自分の症状がなぜ起きているのかを知り、理解することが大切です。自分の特性を理解することで
『こうすれば困らない』
という方法を見つけやすくなります。
🍀環境改善
できるだけ『聞き取りたい声』だけがはっきり聞こえるように、環境や話し方にも配慮をすることが大切です。
🍀聴き取りを補う手段を使う
文字、イラストなどで情報が残るように『視覚化』することで、聞き漏らしたとしても理解しやすくなります。また、送受信機(離れた位置にいる相手の声を大きくするための機器)なども必要に応じて活用しましょう。
🍀聴き取りのトレーニング
トレーニングを重ねることで、聴き取る力を一定向上させることが可能です。こちらの教材を紹介します。
🍀ストレス対策
ストレスは集中力低下の原因になります。十分な休息、睡眠を取ることリラックスすることが大切で、効果的な聞き取り力UP法です🍀
🏫学校でできること
✏︎座席位置の配慮
先生の指示が比較的近くで聞こえるほうが、話を聞き取りやすくなります。
✏︎雑音を減らす
椅子や机にカバーを取り付けることで、教室内の雑音を減らすことができます。
✏︎送受信機の利用
それでも聞き取りが難しい場合は、学校、保護者、医師等と相談しながら、授業する先生に集音マイクをつけてもらい、子どもが受信機を装着するとよく聞こえるようになります。
🏠家庭でできること
色んな体験をする
↓
たくさんの言葉に触れる
↓
その意味を理解する
↓
その言葉を使えるようになる
↓
聴き取る力が高まる👂
語彙力や理解力はすぐに身につくわけではなく、日々の小さな積み重ねが大切です☀
✏︎出かける
子どもが興味のあることならなお良いと思います。お買い物やアウトドア、博物館や図書館、美術館など出かける場所を一緒に考えられると良いですね🎶
(例)
『どこ行きたい』
『なんでそこに行きたいの?』
『そこではどんなことがしたいの?』
✏︎一緒に遊ぶ
子どもの発達には遊び(運動)は欠かせません。遊びの中で体を動かしながら、コミュニケーションをとる経験が大切ですね。ルールがある程度理解できるようになってきたら、ボードゲームなどもコミュニケーションをとる練習になるのでオススメです🎶
✏︎お手伝い
料理、洗濯、掃除など、一緒に手を動かすことで、知識だけではない『生きた言葉』を学ぶことができます🎶
まとめ
『うちの子聞こえが悪い?』
と感じることがあれば、積極的に医療機関に検査をしてもらうことをお勧めします。
特に幼少期に声が上手く聞き取れていない場合、言葉の発達の遅れにつながります。
実際『言葉の発達に課題がある』お子さんの耳を検査すると、垢が溜まっていたり、低音(高音)が少し聞こえにくかったりすることがあります。
音はしっかり聞こえているのに聴き取る力が弱い場合、今回紹介したAP D(聴覚情報処理障がい)の症状を疑い、原因の理解と対応をすることが大切です。
聞き取れないことにより、学習がわからなくなったり、自信がなくなったりすると、2次的な不適応にもつながりますので、早期発見・早期対応を通して、自己肯定感を向上することが重要ですね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました✨
いつも、記事を読んでくださり本当にありがとうございます。
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少しでも『 APD(聴覚情報処理障害)の原因と対応』について理解を深めていただき、少しでもお役に立てれば嬉しいです🌈
今後もできる限り有益な記事を書いていきますので、よろしくお願いします✨
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