現代の子どもたちの不登校の背景には、さまざまな要因があります。
その中でも「心の病」との関係は見逃せません。
今回は以下の文献を参考に、児童期・思春期に多く見られる主な精神疾患と不登校との関係について、一緒に考えていきましょう。
【参考文献】

🍀分離不安症
特徴
- 愛着対象(多くは親)から離れることに強い不安を感じる
- 小学生に多く見られる
- 学校に行こうとすると、泣いたり体調不良を訴える
よく見られる症状
- 腹痛や頭痛などの身体症状
- 「体調が悪いから行けない」と訴える
- 登校直前にパニック状態になる
対応のポイント
- 甘えではなく「病気」として理解する
- 安心できる環境を整える
- 徐々に登校に慣れていく支援(段階的登校)
🍀社交不安症
特徴
- 人前で話すことや注目されることに強い不安を感じる
- 思春期に多く見られる
よく見られる場面
- 音読や発表が怖くて登校を避ける
- 教室内の雑談でも緊張する
- 「恥をかく」「笑われる」という恐怖が強い
対応のポイント
- 「ただの内気」ではなく病気と認識する
- 認知行動療法などで「不安への対処力」を養う
- 無理のない範囲での社会的場面への適応練習
🍀うつ病
特徴
- 抑うつ気分や無気力が続く
- 思春期以降に多く見られる
主な症状
- イライラや攻撃性が目立つ場合もある
- 「学校に行く意味がない」と発言する
- 朝起きられない、生活リズムの乱れ
対応のポイント
- 「怠け」ではなく脳の不調と理解する
- 精神科受診による薬物療法が効果的
- 家庭や学校での環境調整と心理的支援が重要
🍀全般性不安症
特徴
- 将来や日常のささいなことに対して、過度に不安を抱く
- 「止めたくても止められない不安」が続く
よくある悩み
- 授業内容や宿題への過度な心配
- 忘れ物や時間に遅れることへの強い恐れ
- 寝つけない、集中できないなどの生活への影響
対応のポイント
- 不安を「受け止めてくれる存在」が重要
- 不安に対処するスキル(心理教育)の支援
- 焦らず、安心感を土台にした関わりが大切
🍀適応障害
特徴
- ストレスにうまく適応できず、心や体に症状が現れる
- 発症から3か月以内にストレス要因が明確にある
きっかけの例
- クラス替えや転校
- 友人関係のトラブル
- 担任や先生との関係の変化
よく見られる症状
- 気分の落ち込み、涙もろさ
- 身体症状(腹痛・頭痛など)
- 過敏な反応や過剰な不安
対応のポイント
- ストレス要因の緩和や回避
- 状況が変われば改善しやすい
- 短期間の休養と心理支援が効果的
🍀強迫症(強迫性障害)
特徴
- 頭の中に浮かぶ強迫観念と、それを打ち消すための強迫行為がある
代表的な症状
- 何度も手を洗う
- 戸締まりや確認行為を繰り返す
- 「何か悪いことが起きるのでは」という強い不安
不登校との関係
- 朝の準備に時間がかかる
- 学校に間に合わない、外出が困難になる
対応のポイント
- 認知行動療法(曝露反応妨害法)による治療
- 抗うつ薬などの薬物療法が有効なこともある
- 周囲の人が強迫行為に巻き込まれない対応が必要
🍀統合失調症
特徴
- 幻聴、妄想、思考の混乱などが現れる重度の精神疾患
- 発症は10代後半が多い
症状の例
- 「誰かに見られている」と感じる
- 声が聞こえる
- 表情が乏しくなる、話の内容がとぎれとぎれになる
不登校との関連
- 教室内での違和感や恐怖心から登校を避ける
- 病識が乏しく、自覚がない場合も多い
対応のポイント
- 精神科での診断と薬物療法が不可欠
- 家族の理解と長期的な支援が重要
- 教育機関と医療の連携が求められる
🍀双極性障害
特徴
- 「うつ状態」と「そう状態」の両方が周期的に現れる病気
- 思春期に発症するケースもある
そう状態の例
- 多弁、多動、睡眠欲求の低下
- 根拠のない自信や誇大な発言
- 爆買い
うつ状態の例
- 強い落ち込み、無気力
- 自己否定が強まる
不登校との関連
- 状態の波により登校できる日とできない日の差が大きい
- 周囲から「わがまま」「気まぐれ」と誤解されやすい
対応のポイント
- 気分安定薬などの薬物療法が中心
- 睡眠や生活リズムの安定が再発防止に有効
- 教員や支援者が「波」を理解し、対応を柔軟にすることが重要
🍀心の病の治療法
子どもたちの心の病に対しては、以下のような治療法が用いられます。
1. 精神療法(カウンセリング)
- 認知行動療法(CBT)
- 遊戯療法(プレイセラピー)
- 支持的カウンセリング(共感的に話を聴く)
2. 薬物療法
- 抗うつ薬(SSRIなど)
- 抗不安薬
- 抗精神病薬や気分安定薬(症状に応じて慎重に処方)
3. 環境調整
- 学校との連携(別室登校、通級、保健室利用など)
- 家庭での安心できる空間の確保
- 支援者による見守りや付き添い
4. チーム支援
- 精神科医、臨床心理士、スクールカウンセラー、担任、保護者の連携
- 医療・福祉・教育の三者での情報共有
- 保健所や教育委員会の専門機関の活用も有効
治療には時間がかかることが多いです…
焦らず、子どものペースに合わせた支援が大切です。
最後に
不登校の背景には、見えづらい「心の病」が潜んでいることがあります。
以下のような姿が見られた場合、早めの相談をおすすめします。
- 原因不明の体調不良が続く
- 学校に行きたくない理由が説明できない
- 気分の波や、性格の急な変化がある
「怠けている」「逃げている」と決めつけるのではなく、
「何に困っているのか」「どう支えられるか」を共に考える姿勢が大切です🍀
学校、保護者、医療、福祉、心理士などが連携し、安心して過ごせる環境を整えることが、
子どもの回復と未来への第一歩となります。
子どもたちの「声にならない心の声」に、耳を傾けていきましょう。
【参考文献】

最後までお読みいただき、ありがとうございました✨
いつも、記事を読んでくださり本当にありがとうございます。
スキ・フォローとても励みになっています🍀
この記事を読まれた方が、
少しでも『心の病と不登校』について興味を深めていただき、
少しでも参考になれば嬉しいです🌈
今後もできる限り有益な記事を書いていきますので
よろしくお願いします。
コメント