「アダルトチルドレン(AC)」とは、
虐待、過干渉、無関心、親の精神疾患など、さまざまな問題を抱えた家庭で育ち、大人になっても生きづらさを感じる人を広く指すことが多いです。
本来は「機能不全の家庭で育った人」
という意味で使われます。
特にアルコール依存症の親をもつ子どもたちを指す言葉として使われ始めました。
子ども時代に安心して生活できる家庭環境がないことによって
人との関係づくりや
自分自身の感情との向き合い方
に様々な影響を及ぼしてしまいます…
今回は、私のこれまでの経験と以下の文献を参考に、アダルトチルドレンについての概要と、回復メソッドについて一緒に学んでいきましょう💪
【参考文献】
心理学の視点から
心理学では、アダルトチルドレンの特徴として以下のような傾向がよく知られています。
- 自己肯定感が低い
- 他人に過剰に合わせてしまう(対人過剰適応)
- 感情を表現するのが苦手
- 「いい人」でいようとしすぎる
- 怒りや悲しみを抑え込みやすい
こうした傾向は、家庭の中で安心して感情を表現できなかった経験と深く関係しています。親の顔色をうかがって生きてきたために、自分の気持ちを感じることさえ難しくなっていることもあります。
また、子どものころに親の機嫌や家族の問題を「自分のせい」と思い込んでしまった経験は、無意識のうちに「自分はダメだ」「人に迷惑をかけてはいけない」といった思考のクセをつくってしまうのです。
医療の視点から
精神科では、アダルトチルドレンの背景をもつ方が、うつ病、不安障害、パーソナリティ障害、摂食障害、依存症などの精神疾患を抱えて受診することも少なくありません。
ただし、アダルトチルドレン自体は「病名」ではありません。医療機関では、背景にある家庭環境やトラウマ体験を理解しながら、その人の困りごとに合わせた支援が行われます。
治療には以下のような方法が用いられます:
- カウンセリング(自分の気持ちに気づくための対話)
- 認知行動療法(思考のクセを変える練習)
- トラウマ治療(EMDRなど)
- 家族療法
- グループ療法(同じ背景の人と気持ちを共有)
医療の役割は、「診断」よりも、「本人が自分の人生を取り戻すための土台づくり」にあります。
回復モデル
アダルトチルドレンの回復には「段階」があります。一気に変わることはありませんが、少しずつ「本来の自分」を取り戻すプロセスがあります。
回復のステップ(例)
- 気づく:自分が生きづらさを抱えていると認める
- 理解する:その原因が家庭環境にあると知る
- 感情に気づく:押し込めてきた感情を感じる練習をする
- 手放す:自分に不要な思い込みや役割を見つめ直す
- 新しい自分を育てる:自分にやさしい言葉をかけたり、人と安心してつながる経験を積む
アダルトチルドレンの6つのタイプと回復のヒント
① ヒーロー(期待に応える子)
- 🔹特徴:責任感が強く、いつも「ちゃんとしなきゃ」と思っている
- 🔹回復のヒント:
- 「失敗してもいい」と自分に許してみる
- 小さな楽しみや休む時間を大切にする
- 人に頼っても嫌われないと気づくこと
② スケープゴート(問題児)
- 🔹特徴:怒りや反抗で家族の不安を引き受けてきた
- 🔹回復のヒント:
- 怒りを大切な感情として扱う
- 話せる相手を探す
- 自己破壊でなく本音でつながる
③ ロストワン(いない子)
- 🔹特徴:目立たず、自分を消して生きてきた
- 🔹回復のヒント:
- 「何が好きか」自分に問いかけてみる
- 気持ちを話す練習をする
- 「ここにいていい」と感じられる場所をもつ
④ クラン(道化役)
- 🔹特徴:家族の空気を笑いや明るさでほぐす
- 🔹回復のヒント:
- 「本当の気持ち」を大切にする
- 明るくふるまわなくても安心できる人を見つける
- ひとりの時間を大切にする
⑤プラケーター (慰め役)
- 🔹特徴:人の気持ちをなだめ、自分を後回しにしてきた
- 🔹回復のヒント:
- 「本当はイヤだった」感情を認める
- 「断る練習」を少しずつする
- 自分の感情を言葉にして整理する
⑥ イネイブラー(支え役)
- 🔹特徴:問題のある親を支えて家庭をまわしてきた
- 🔹回復のヒント:
- 限界を知り、背負わなくてよいものを手放す
- 問題は「その人のもの」と分けて考える
- 自分の人生と幸せを考える
自助グループについて
アダルトチルドレンの人たちが回復していく上で、とても力になるのが
自助グループの存在です。
自助グループとは、同じような経験をもつ人たちが、対等な立場で話し合い、支え合う集まりです。
代表的なグループ:ACA(アダルトチルドレン・アノニマス)
「ACA」は、アダルトチルドレン向けの世界的な自助グループです。
日本全国にミーティング会場があり、オンラインでの参加もできます。
名前を名乗らず、自由に出入りできるので、はじめてでも安心です。
アダルト・チルドレン・アノニマス(ACA)子どもの時期をアルコホリズムやその他の機能不全のある家庭で過ごした成人=アダルト・チルドレンの自助グループ。各地でミーティaca-japan.org
自助グループの良いところ
- 同じような悩みをもつ人に出会える
- 話しても否定されない安心感がある
- 自分の思いを少しずつ表現できるようになる
参加は自由で匿名でOK。聞いているだけでも大丈夫です。
「ひとりじゃない」と実感できる場所です。
まとめ
アダルトチルドレンという言葉には、過去に負った深い痛みと、そこから抜け出したいという願いが込められています。
あなたが感じている「生きづらさ」には理由があります。
そして、その苦しさには終わりがあります。気づき、向き合い、手放し、そして「今ここからの人生」を生きていくことは可能です。
回復の道のりは一人ひとり違いますが、ひとつだけ確かなことは、
「あなたは一人ではない」ということです。
自助グループ
カウンセリング
安心できる仲間
少しずつ、自分を取り戻していく道を歩んでいただける方が
少しでも増えることを心から願っています🍀
【参考文献】
最後までお読みいただき、ありがとうございました✨
いつも、記事を読んでくださり本当にありがとうございます🍀
この記事を読まれた方が、
少しでも『アダルトチルドレン』について興味を深めていただき、
少しでも参考になれば嬉しいです🌈
今後もできる限り有益な記事を書いていきますので
よろしくお願いします。
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