🍀言葉🍀を育てる『発達アプローチ』とは?

おすすめ本

『発達アプローチ』は、

・発語の遅れ
・他者への興味が薄い
・コミュニケーションが苦手


 などの実態がある子に効果的な療育方法です🍀

 『発達アプローチ』とは…

✏︎ABA(応用行動分析)に次ぐ大きな影響力がある自閉症療育法🍀
✏︎定型発達児の発達過程をモデルにして、自閉症のある子の成長段階(ステージ)を想定
✏︎大人主導ではなく、子どもの興味・関心を主導にした療育方法
✏︎自然な場面で”楽しく”学習し、言葉や社会性を伸ばすことを重視する
✏︎家庭の中で実践しやすい療育方法

今回は、以下の文献を参考に言葉を育てる『発達アプローチ』について一緒に勉強していきましょう💪

【参考文献】

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🍀言葉を引き出す工夫

① いっぱい話しかける

 言葉の理解のための、有効的な話しかけ方とはどのようなものでしょうか。
以下の点を意識することで、言葉の発達を促します💪

✏︎ フェイス・トゥ・フェイス

 特に、発語がない(少ない)段階では、子どもの正面に回り、子どもの視界に入って、目の高さを合わせます。アイコンタクトができなくても、少し目線を動かせば目がある位置に大人の顔が見られるポジションにつきます。
 特に自閉症傾向のある子は、物への関心が強く、人の顔への興味が乏しい場合が多いです。
 『人の顔からは、たくさん楽しい情報がくる』ということをフェイス・トゥ・フェイスで学ぶことは、療育の第一歩です🍀

✏︎ワン・アップ・ルール


例 
子:発語がない→大人:1語で話す
        🍎 →  「りんご」
子:単語を話す→大人:2語文で話しかける
  「りんご」→ 「りんご おいしね」

 言葉の発達に遅れがある場合、大人はたくさんの言葉を話そうとしがちですが、子の年齢ではなく、今使える語数に一つ増やして話しかけ、次のステップへ促します

 子どもの使える語数に一単語増やして話しかけます

✏︎生活のルーティーンの中で声かけ

生活のルーティーンで、動作と言葉を結びつけます

着替え・お風呂・トイレ・食事など

✏︎ 関わり遊び

・いないいないばあ
 子どもの正面に回り、顔を隠し、子どもの視界がひらけたときに、大人の面白い表情が見えるようにする

・たかいたかい
 「たかいたかい はじめ!」
 「たかいたかーい」
 「たかいたかい おしまい!」
などと声をかけながら行います。

発語がある子なら、終わった後、
微笑みながら子どもを期待の目でじっと見つめ
「次は君が話す番だよ!」
というサインを送り
ます。

このような繰り返しで、
会話のルール(言葉のキャッチボール)
自然に習得することを目指しましょう💪



② 新しい音が自然に出る工夫を

日本語は、母音+子音で音を構成しなければ、言葉を発することができません。
 ごく短い言葉でも、舌・唇・口腔などいろんな筋肉を協調させて動かすことで、音は出されています。協調がわずかに狂っただけで、正確な音が出ません。
 口に関係するたくさんの筋肉を協調させて音を作り出す(音を構成する)ことを『構音』といいます。

✏︎ 楽しく自然に声を出す

にごっこ・たかいたかい・こちょこちょなどで
「わー」
「きゃー」
「やー」
「まてー」

など大人が楽しく声を出します
子どもから何か音が出たら
大人がすかさずその音を真似して、新しい音が定着するようにしましょう🍀

発語が少ない場合、自然と声が出るような関わり遊びが効果的です。

✏︎ 楽しく口腔の筋肉を鍛える💪

 ・ふえをふく
 ・ストローでぶくぶく
 ・シャボン玉
 ・ふうせんを膨らませる

などの遊びを通して、口腔内の筋肉を使う体験を積み重ねることで、構音を上達させることができます。


③ 絵カード依存は危険?

  絵カードは、物の名前や様子などを表す言葉を学ぶのに活用されますが、頼りすぎることは避けなけらばいけません。

 絵カードの使用が過剰になると、
日常生活では言葉を出さず、絵カードを見た途端に単語を話すようになってしまう事例があります

 言葉が絵カードと結びついてしまい、
言葉と現実が結びついていないので、”使える言葉”が身につかないことがあります💧

✏︎ 子どもの注意に言葉をかぶせる

単語を覚えていく段階の子の学習がより成功する可能性が高いのは、
絵カードで子どもの注意の対象を替えるのではなく、
すでに注意が向っている対象の単語を言うやり方です。

 食事のときに、物の名前を言いながら食べさせたり、手洗い・着替えなどの生活動作をしながら動作にあった言葉掛けを繰り返したりなど、
まずは実生活で言葉を増やすことが、使える言葉を増やす近道だと考えています。

✏︎ 絵カードの効果的な使い方

絵カードが有効になる例をいくつか考えてみました。

☆ 選択肢を示す
 何が食べたい? どこへいきたい? なんで悲しい? など、子どもが今の気持ちを言語化するのに苦労する場合に、絵カード等で選択肢を設けることで、使える言葉を増やしていきます。

☆ 手順を示す
 生活動作の手順を定着させるときによく活用されます。特に注意がそれやすい子に有効です。今できていること、今するべきこと、次にするべきことが明確になり、一人で動作を完了させるための手助けになります。

☆ 理由を説明する
「上着を着ないと風邪ひくよ!」と言ってもなかなか着たがらない子がいます。言葉でいくら言っても納得しません…
そんな場合に、絵カードで未来予想を示しながら理由を説明すると納得できる場合があります。

「上着を着ない」

「冷たい風」

「寒い」

「風邪をひく」

「上着を着る」

「冷たい風」

「寒くない」

「風邪ひかない」


④ ”ほめる”よりも”自然的強化子”で言葉を伸ばす

発達アプローチでは、
「子どもに課題をさせるには、ご褒美が必要。ただしそれは極力、”自然的強化子”でなければならない」
と考えられています。

例えば

子:「ジュース」と言う

親:ジュースを注ぐ(ジュースが手に入る)

親:「ジュース甘いね」(味覚と言葉を結びつける)

このように自然な行動の流れの結果としてやってくるご褒美が
”自然的強化子”です

このときに、
「ジュースって言えたね!」
「やったー!すごーい!」
などと褒めるよりも、子どもとジュースについての情報を共有する言葉かけをすることで、言葉の理解を促すことが重要です。

”褒める”は、言葉のキャッチボールを終了させてしまいます
会話が続きそうな場面なら、褒める前に、言葉のキャッチボールをできるだけ続けてみましょう💪


⑤ ”体験談力”を伸ばすサポート

クローズ・クエスチョン(Yes or No)
「幼稚園楽しかった?」
よりも

オープン・クエスチョン
「今日、幼稚園で何したの?」

と会話が広がる聴き方をする方が良いと一般的には考えられています。

確かにその通りなのですが、

「今日、幼稚園で何したの?」と聞いても
体験のエピソードを話すのが苦手な子にとっては、何を話したら良いのか分からず


「いろいろ」
「いっぱい」
「分からへん」


と返ってくることがあります。私の息子もそうです…

そんな場合は、
「外で遊んだの?」
「何して遊んだの?」
「誰と遊んだの?」

「給食は何食べた?」
「どんな味だった?」
「明日はどんな給食かなー?」

などトピックを指定して、体験の言葉を引き出すことが重要です。
毎日繰り返すことで、どのように話を展開していくと良いのか少しずつ学んでいくことができます。

そして、エピソードを伝えたら親が喜んでくれるから『楽しい』と、子が感じられると、次につながりますね✨


🍀『発達アプローチ』言葉の6ステージ

本書では、言葉の発達アプローチを以下の6段階に分けています。
それぞれの段階で効果的な関わり、サポートを紹介します。

ステージ①「発語のない」段階

非言語コミュニケーション(ジェスチャー)を引き出すことが大切です。
言葉のない段階では、相手に思いを伝える方法が限定されています。

そこで、発語を促すために、意味のあるジェスチャーを引き出すことが大切です。

✏︎ 「ちょうだい」を引き出す

おやつを見えるけど届かないところにかざす

子どもが取ろうと手を伸ばしてきた(リーチング)

即座に「おやつ」と言いながら、大袈裟な動きで渡す

✏︎ 「もう一回」を引き出す

高い高い・こちょこちょなど子どもが喜ぶことをする

すぐに止める

子どもと目を合わせる

大人が指を1にしながら「もう一回?」言う

もう一回高い高い・こちょこちょなどをする

✏︎ 「イヤ!」を引き出す

好きなおやつを少しずつあげる

たまに、あまり好きではないものをあげる

子どもと目を合わせる

大人が首を振りながら「イヤ」という

好きなおやつをあげる

「イヤ」を覚えることで、イヤイヤと言うのではないかと思う方もいるかもしれませんが、「いやだ」という意思を表出できる画期的な方法を学ぶことで、イヤなときに暴れたり物を投げたり叩いたりする行動を減らすことにも繋がります✨


ステージ②「クレーン」段階

クレーン現象は、ネガティブなイメージで語られることがありますが、「意思を伝えよう」としている点では、言葉が全くない段階よりも上の段階にあります。
その意思を汲み取って、言葉と繋げていくサポートが大切です🍀

✏︎ 出せる音から引き出す

子どもが出せている音を観察
子どもが欲しがるものを観察
子どもが欲しがるものと、出せる音で結びつきそうなことを探します

例えば、『パ』が言えて「パン」が好きならパンと言葉を繋げる絶好のチャンスです✨

✏︎ 関わり遊びから引き出す

BAの音は初期でも出しやすい音なので、「いないいないばー」などで『ばー』と言いながら、一緒に遊び、発語を促すと効果的です。

遊んでいる中で、子どもから発語があったら、大人がすかさず真似し、その音を意識的に出せるように繰り返してみましょう!



ステージ③「単語」段階

指差しや、ものの要求を単語(おやつなどの名詞)で言えるようになってきたら、動詞を増やしていくことで、次の二語文段階へと繋げることができます。簡単にできる『お邪魔法』を紹介します

✏︎ 置き場所から引き出す

子どもが好きなものを、あえて見えるけど手の届かないところにおきます
 指差しして「おやつ」などと言ってきたら
 「とって」と大人が言いながらおやつをとってあげるという動作を繰り返し「とって」を引き出します🍀

✏︎ 開かない蓋から引き出す

子どもが欲しいおやつやおもちゃをあえて、開けにくい蓋付きの容器に入れておくことで、子どもからの要求を促します。
 「開けてほしい」ような仕草・表情を示してきたときに、大人が「開けて」と言いながら蓋を開ける動作を繰り返し、「開けて」を引き出します🍀


ステージ④「二語文」段階

ある程度の動詞と名詞が使えるようになったら、二語文が増えてきます。
3語文へと繋げるためには、
子どもが二語文で話してきたら、大人が3語文で返すことで少しずつ文を伸ばしていきます。

子:「ジュース おいしい」
親:「ジュース 甘くて おいしいね」

子:「おやつ 食べたい」
親:「おやつ 何が 食べたい?」

二つ目の例で子どもが答えるのが難しい場合、
「おやつ 何が 食べたい?」
「チョコ?」
「クッキー?」
「せんべい?」
などと選択肢を与えることで、答え方の練習になります。


ステージ⑤「文法」段階

Wh質問を使えるように、簡単な順からマスターしていきましょう🍀

✏︎Which(どっち?)

ステージ④でも紹介した、選択肢を与えることで、選べることを目指しましょう。

✏︎What(なに?)

名詞をいくつか言えれば答えられる質問です。名詞が増えてきたら、どんどん活用しましょう。

✏︎Where(どこ?)

子どもはいろんなものを探す経験をしているので、比較的理解しやすいです。わざといつもと違う場所に置いて、「どこ?」を引き出したり、身代わり隠れんぼなどで、
「〇〇どこだ?」
など遊びながら、「机の上」「上から○番目の引き出しの中」などヒントを出すと、楽しみながらいろんな言葉が理解できるようになっていきます✨

✏︎Who(だれ?)

 お父さん・お母さん・おじいちゃん・おばあちゃんなど、代名詞を少し使えるようになったら、「誰と遊ぶ?」「誰と寝る?」など答えられるように話しかけていきましょう。

✏︎When(いつ?)

時間の理解が必要です。
「昨日、お出かけ楽しかったね」
「明日、キャンプに行こう」
など、時間の言葉をたくさん話しかけましょう。
「今度、行こうね」
など曖昧な時間の言葉も使うことで、子どもからの「いつ?」を引き出すことも大切ですね。

✏︎Why(なぜ?)

『原因と結果』の枠組みで、物事を考えられる力をつける必要があります。
日常生活の中で、
「公園で転んだんだね。だから痛いんだね。」
「蚊に刺されたね。だから痒いんだね。」
など、現実の結果と原因を結びつける会話を意識的に増やしていきましょう。

✏︎How(どのように?)

 日常生活の中で、
「きれいな お花だね。」
「大きい 家だね。」
「可愛い 犬だね。」
など、物事の様子を表す言葉を、会話の中で意識的に増やしていくことで、語彙を増やしていきましょう。 


ステージ⑥「会話」段階

 会話ができるようになるには、まず言葉のキャッチボールの暗黙ルールを知る必要があります。
 子が永遠に自分の話をしている場合、このルールがいまいち理解できていない可能性があります。
 
まずは、親→子→親→子
と会話のルールを定着させましょう。

子どもがずっと話している場合
「次はお父さんの番ね」

と言いながら、適度に話を区切り大人が話し終わったら

『次は君の番だよ』

と間を与えてアイコンタクトしたり、手で『どうぞ』の合図を送ったりすると効果的です✨

会話がなかなか広がらない・主語が抜けてわかりにくい場合、Wh質問を返し、話を整理してあげると良いですね🍀


まとめ

言葉の力を高める『発達アプローチ』について紹介してきました。
いろんな方法を紹介してきましたが、重要なのは、

大人が楽しみながら言葉を発する

ことだと思います。

言葉が習得できていない子は、言葉を使うことによるメリットをあまり感じていない可能性があります。

言葉を覚えることで、自分の要求が伝えられたり、気持ちを共有できて楽しかったり、そんな経験を積ませることが重要です🍀


最後までお読みいただき、ありがとうございました✨

いつも、記事を読んでくださり本当にありがとうございます🍀

この記事を読まれた方が、
少しでも『発達アプローチ』について理解を深めていただき、少しでもお役に立てれば嬉しいです🌈

今後もできる限り有益な記事を書いていきますので、よろしくお願いします✨

【参考文献】

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