発達障害・グレーゾーンの世界を理解する本『グレーゾーンの歩き方』

おすすめ本

普段 子どもたちと関わっていると

「え!?」

「なんで!?」

「さっき 言ったばっかりやん...」

「ちょっと 落ち着こうよ」

と思うこと ありませんか。

私は よくあります。
いや、ありました

この本を 読んでから、子どもたちの 一見理解し難い 行動の理由が少しずつ理解できるようになりました。

「だから、怒ってしまうんだ」

「だから、動いてしまうんだ」

「だから、同じ失敗をしてしまうんだ」  

などなど

今回紹介する本
『グレーゾーンの歩き方』は
発達障害・グレーゾーンの方の
「本人目線」
にこだわって、気持ちや困りごとを表現されています。
この本を読むと きっと
発達障がいの人に起こる事象
少しは身近に感じることができるようになりますよ。
10の旅のストーリーについて、紹介します。

① エンジン吹かしっぱなしの過酷なレース=オイルサーキットグランプリ

じっとしていられず、動いてしまう多動性(常にアクセル全開)
注意が移り変わりやすく、衝動的な行動(ブレーキが効きにくい)
これらにより、こんな行動が見られます↓

・同じ失敗を繰り返す
・じっとしていられない
・したいこと、思いついたことを考えなしにしてしまう
・嫌なことを我慢できない
・すぐに報酬を求めてしまう

これらの事象は、脳内の神経伝達物質(ドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニンなど)が上手く働かないことが原因と言われています。脳内の覚醒が低いため、覚醒を上げようと、刺激を常に求めています。

配慮したいこと

☆ 音・光など、刺激の量を減らす(環境を調整)
☆ 集中させたい活動前に、あえて刺激を入れ(ジャンプ・一本足立・ケンケンなど)脳の覚醒を高める
☆イスに円盤バランスクッションを置くなど、不安定な状態に(平衡感覚に刺激)する
☆ ハンドスピナーなど、周囲にあまり迷惑にならず、刺激を取り入れる方法を提案する。
などなど 

② オールマイティに注意を向けるのはムリ=好きなことだけカーニバル

しなければならないことは頭から吹っ飛んでしまう。目の前にある、興味のあることには全集中!こんな行動が見られます↓

・複数のことを 同時に行うのが難しい。
・片付けが苦手
・物をよくなくす
・好きなことをしていると、時間を忘れて没頭(耳はギョーザ)
・興味のないことには、気が散りやすい

これらの事象は、脳を適切な覚醒レベルに保つことが難しかったり、必要な情報を取捨選択するフィルター機能が弱かったりするために起こってしまう。

配慮したいこと
☆ するべきことが目に見てわかるようにする。
☆ 基本的な生活習慣を整え脳の疲れを緩和する→十分な睡眠・適度な運動

③ 時間感覚がわからない=時間のない公園

時間の感覚がよく分からず、あと○分とか、明日とか、来週とか言われてもピンと来なかったり、「過去」の嫌な出来事を何かのきっかけで思い出し、「今」起こっているように思えてしまいます。こんな行動が見られます↓

・時間配分が苦手で、間に合わない、遅刻する。
・嫌だったことを忘れられない。
・数年前の出来事を、ついさっきあったことのように話す
・何が起こるか分からない未来は不安

これらの事象は、体内時計が上手く働かず睡眠のリズムが乱れたり、時間の感覚が弱かったりするために起こります。

配慮したいこと
☆ タイマーなどを活用し、時間を見える化する。
☆ スケジューリングの手伝いをする。この日(時間)までにこれをするなど

④ 感覚情報がうまく処理されない=交通渋滞パニックの街

脳に流れ込んでくる感覚情報を、適切に交通整理することができず、協調して体を動かすことが苦手で不器用だったり姿勢が悪かったりします。↓

・姿勢が悪い
・手先が不器用
・走り方がぎこちない
・自転車に乗れない
・力加減が苦手

これらの事象は、姿勢の調整や、目を動かす力などに関係するバランス感覚(前庭覚)
力加減を調整したり、重さや力を関節や筋肉が感じ取る固有覚が十分に発達していない可能性があるために、起こります。

感覚のトレーニングを

☆ 目のトレーニング おすすめ書籍↓

☆ バランス感覚を使う遊び、けんけんや平均台、ブランコなどを通して、感覚を統合していく。 おすすめ書籍↓

⑤ 感覚過敏、鈍麻、不安=切り裂きジャックの潜む街角

音、光、匂い、触感、温度、気圧、重力・・・様々な刺激を取り入れすぎてしまい、過敏だったり、鈍感だったり、不安だったりする。そのため、脳が防衛反応を起こしてしまいます。↓

・耳を塞いでしまう
・ブランコやエレベーターが怖い
・特定の木地、感触の服しか着れない
・偏食が多い
・眩しく感じやすい
・シャワーが痛い

このような実態がある方は、他の人にはなんてことない刺激でも、刺激を取り込みすぎて、脳が防衛反応を起こしている可能性があります。

配慮したいこと
☆ 刺激をできるだけ少なくする。(光:カーテンを閉める、サングラスをかけることを許可する 音:イヤーマフ、耳栓をする など)
☆ 安心できる環境で、脳が防衛反応を示す刺激を少しずつ入れていき、防衛する必要がないことを識別させていく。大丈夫だった経験を積む。

⑥ 怒りのマグマが爆発して溶岩が吹き出す活火山=やっちまった火山

込み上げる怒りを抑えられず、頭の中はいつも戦闘モード!
何がきっかけで、いつ爆発するのか本人も分からない。↓

・カットなるのを抑えられない
・自分の考えていることが正しいと思っている
・人のアドバイスを聞かない
・わがまま と言われる

相手の気持ちを推測ったり、想像したりすることが苦手。周りに注目されたい。物事を「0」か「100」で考えがち。怒りが理性でコントロールする前に爆発してしまう。

配慮したいこと
☆怒りの気持ちが出たら、数を数える習慣をつける
☆深呼吸する習慣をつける
こちらもぜひ参考に↓

⑦ 空気は読むものじゃなくて吸うものだ!=ココロ研究所

人の心とは、正体のわからないもの。空気を読んでコミュニケーションを交わしながら世間を渡るのは並大抵のことではない。

グレーゾーンの歩き方

・「天然だね」と言われる
・冗談やたとえ話しは分からない。
・年下の子と遊ぶことが多い
・話すときに、相手の目を見るのが苦手
・距離感が近い

言葉は文字通りの意味しかわからなかったり、暗黙の了解が理解できなかったりする。「心の理論」と呼ばれる他者の心と自分の心の違いが分からず、相手の心を推しはかることが難しいです。

配慮したいこと
☆不適切な言動はその都度訂正→「太っているね」と悪気なく思ったことを言ってしまう子がいるが、『体のことは言ってはいけない』と社会のルールとして覚える。「相手が嫌な気持ちになるでしょ」と言われてもピンとこない。
☆「相手は〇〇と思っているよ」と気持ちを具体的に伝えてあげる。

⑧ 私の不安は誰にもわからない=コダアリ地獄

マイルールに自分が守られると同時にし縛られてしまい、周囲との関係性が難しくなってしまう。

グレーゾーンの歩き方

グレーゾーンの歩き方

・自分なりのルールを崩すのは嫌
・突然の変更は混乱するから嫌
・負けるのは嫌
・一番出ないと嫌
・自分がいいと思ったことを人にもやってもらいたい

いつも同じ時間に同じ場所でなど、ルーティーンがあることで安心する。一方、急な変化は苦手で、ルーティーンが崩れると不安で混乱してしまいます。

配慮したいこと
☆ 見通しをもち、安心できるように スケジュールを見える化
☆ こだわり行動やチックなどが普段以上に出てるときは、ストレスを感じていたり体調不良だったりすることがあるので、環境改善を試みる。

⑨プライド山脈と劣等感が同居する砂漠=ネガティブ砂漠

自尊感情が枯渇したネガティブ砂漠には巨大なプライド山脈がそびえたっています。ちょっとしたことで山脈は崩れ落ち・・・

グレーゾーンの歩き方

グレーゾーン

・自分には存在価値がないと思う
・自分の否は絶対に認めない
・拒否されたり、否定されたいするのが怖い
・失敗するのは周囲が悪いと思う。

プライドが高すぎるため、自分の失敗を許せなかったり、自分を認められなかったりして、自尊感情が低くなりがち。失敗を恐れて対人関係を避けたり、引きこもったりする場合があります。

配慮したいこと
☆ 完璧を求めすぎない、半分できたらOKの習慣を
☆ 相談機関や医療機関を適宜使用して、自尊感情が下がりすぎて、引きこもりや精神疾患などの二次障害にならないようにする。

⑩異性とつき合うのは大変だ=コンカツクライミング

目の前に広がる垂直の崖。その頂上には理想の恋人が待っています。滑落することなく登り切ることができるのでしょうか。

グレーゾーンの歩き方

グレーゾーン

・身だしなみには気を使わない
・食事のマナーが悪いと言われる
・異性とは何を話せばいいか分からない
・好きなことならいくらでも話せる
・偏食が多い
・話を聞くのが苦手
・思ったことを口に出してしまう

全般的にコミュニケーションが苦手なため、トラブルを起こしてしまいます。相手の心情を理解することは、話す前に相手がどう思うか考えるフィルターが少ないため難しい。

まとめ

『グレーゾーン』という言葉は最近よく耳にするようになったが、個人的には、個性の延長線にあると思う。お互いの個性をお互いが認めい、得意を活かし合い、苦手を補い合う。そんな社会が当たり前になるのは近いと信じています。そのための、一助になりたいとも考えています。

ご愛読ありがとうございました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました