森田療法とは?
森田療法は、大正時代に日本の精神科医・森田正馬先生が始めた、日本独自の心理療法です。
神経症の治療から出発しましたが、今ではさまざまな精神疾患に広く応用されています。
以下の文献を参考に、『森田療法』について一緒に学んでいきましょう💪
【参考文献】
森田療法によって治療が期待できる疾患の例
- 不安症(全般性不安障害、社交不安障害など)
- 強迫症(強迫性障害、確認行為や手洗い強迫など)
- パニック障害(発作への恐怖や予期不安)
- うつ病や抑うつ状態(特に「気分本意」で生活が止まっているケース)
- 心気症(身体のちょっとした症状を重病と感じてしまう状態)
- 対人恐怖(赤面恐怖、視線恐怖、会話の不安など)
- 適応障害(学校や職場のストレスで生活に支障が出る場合)
大きな特徴は「症状をなくすこと」ではなく、「症状に振り回されず生きること」を目指す点です。
『とらわれ』とは?
不安が止まらない…
心臓の鼓動ばかり気になる…
人前での赤面が気になる…
森田療法が注目するのは『とらわれ』という心の働きです。
『とらわとは、症状や感情に意識が集中して、抜け出せなくなることです。
例えば――
- 「不安をなくさなきゃ」と思うほど、不安が強まる
- 「緊張してはいけない」と思うと、余計に緊張する
- 「鼓動が速い」と気にすると、ますますドキドキが止まらない
この悪循環を断ち切ることが、森田療法のめざすところです。
『生の欲望』を賦活する
やる気が出ない…
何をしても楽しめない…
気分が落ち込んで仕事や勉強・部活ができない…
森田療法の根底にあるのが『生の欲望(いのちの欲求)』という考え方です。
「生きたい」
「役立ちたい」
「成長したい」
という自然な力を呼び覚ますことを大切にします。
- 不安や緊張があっても、できることからやってみる
- 気分が落ち込んでいても、生活を続けてみる
- 小さな達成を積み重ね、「生きる力」を取り戻す
こうした実践を通じて、人は再び前に進めるようになります。
『かくあるべき』→『あるがまま』
(よく見られる症状の例:「完璧じゃないとダメ」と思う、不安や緊張をゼロにしたい、理想と現実のギャップに苦しむ)
多くの人が苦しむのは「かくあるべき」という完璧主義の考えです。
「緊張してはならない」
「完璧じゃないとダメ」
「不安をなくさなきゃ」
などの思い込みは、とらわれを強めてしまいます…
そこで、森田療法は『あるがまま』を大切にします。
- 緊張してもいい
- 不安があってもいい
- 完璧じゃなくてもいい
- 症状を消そうとせず、そのまま抱えて生活する
これらの考え方を習得することで
「症状に振り回されない自由」につながります。
『気分本意』→『目的本意』
森田療法は「気分本意」ではなく「目的本意」で行動することを勧めます。
『気分本意』
- 気分で行動を決める(不安だから休む)
- 気分が悪いから、すっきりしない
『目的本意』
- やるべきことを基準に行動する
- できたことに目をむける
例えば――
- 緊張しても発表してみる
- 不安があっても友達と会ってみる
- 落ち込んでいても出かけてみる
気分をそのままに、行動してみることで、
気持ちが後からついてくることもあります❤️
気分に左右されすぎず、目的を優先して行動してみることが
回復への近道になります。
入院治療の流れは?
入院森田療法は「生活そのものを治療にする」方法です。
- 絶対臥褥期(1週間程度)
- ベッドで横になるだけの生活
- 症状から逃げる努力をやめる
- 軽作業期(5〜7日間)
- 掃除や日誌など簡単な作業
- 「気分より目的」を体験する
- 作業期(1〜2ヶ月間)
- 炊事、洗濯、農作業など多様な活動を患者同士で役割分担をしながら共同作業を行なっていく
- 規則正しい生活を送る
- 社会復帰期(1〜4週間)
- 院外活動や外泊、病院から出勤、通学する
- 社会復帰(日常生活、学校や職場に戻る)準備をする期間
森田療法の基本は入院治療です。
しかし、長期間の入院をすることが難しい場合も多いのが現状です。
そこで、増えつつあるのが、外来通院による森田療法です
外来治療の流れは?
- 定期的に医師やカウンセラーと面接
- 日記をつけ、症状や気分の変化を振り返る
- 「とらわれ」に気づき、「あるがまま」の態度を学ぶ
- 「不安があっても生活を続ける」ことを実践
日常生活そのものを通して「目的本意」を実践していきます
最近では、メールで日記を送ったり
オンライン面接をしたりなど
ネット環境を用いた治療を行なっている病院もあります🍀
薬物治療との関連
森田療法は、薬物療法を否定するものではありません。
必要に応じて、薬と併用しながら治療を進めることも多くあります。
- 強い不安やパニック発作がある場合 → 抗不安薬が使われることがあります
- うつ症状が強い場合 → 抗うつ薬を併用することがあります
- 睡眠障害がある場合 → 睡眠導入剤を短期間用いることがあります
薬はあくまで「生活を整えるサポート」として位置づけられます。
森田療法の目的は「症状があっても、その人らしく生きる力を育てる」ことにあります。
まとめ
森田療法は「症状を消す」のではなく、
「症状と共に生きる力」を育てる治療法です。
- 『とらわれ』を理解して悪循環を断つ
- 『生の欲望』を呼び覚ます
- 『かくあるべき』から『あるがまま』へ
- 『気分本意』から『目的本意』へ
- 入院・外来で「生活そのもの」を治療にする
森田療法は、精神疾患を抱える人のみならず、
普段の生活の中でも役にたつメソッドが詰まっていると感じています
今ここの『あるがまま』の自分を受け入れ、『とらわれ』のループに陥らないようにすることが、
「心と体の健康」
「楽しく生きる道」
つながると信じています✨
最後までお読みいただき、ありがとうございました✨
いつも、記事を読んでくださり本当にありがとうございます。
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この記事を読まれた方が、
少しでも『森田療法』について興味を深めていただき、
少しでも参考になれば嬉しいです🌈
今後もできる限り有益な記事を書いていきますので
よろしくお願いします。
【参考文献】
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