『神経発達症』とは?🍀『発達障害』や『知的障害』との違い

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『神経発達症』は、DSMやICDによりまとめられた、グループです。
神経発達症』には、『発達障害』に加えて知的発達症、つまり『知的障害』も含まれています

一方、日本の法制度では、「知的障害」と「発達障害」を区別することが多いです。

例えば、取得できる手帳の種類が異なります。

知的障害→療育手帳
発達障害→精神保健福祉手帳

また、学校では在籍できる学級種別も異なります。

今回は、神経発達症の基本的な特徴、DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)に基づく分類や支援について一緒に学んでいきましょう💪

【参考文献】


神経発達症と発達障害の違い

「神経発達症」と「発達障害」は、似た意味で使われることが多いですが、厳密には異なる概念です。

神経発達症(医学用語)

DSM-5に基づいた用語で、注意欠如・多動症(ADHD)、自閉スペクトラム症(ASD)、限局性学習症(SLD)、知的発達症群など、脳の神経発達に影響を与える広範な障害を包括しています。

発達障害(行政用語)

日本では、「発達障害」という用語が広く使われていますが、主に自閉スペクトラム症(ASD)やADHDなどを指すことが多いです。神経発達症は知的発達症を含んだ用語であるのに対し、発達障害という用語は、知的に遅れがない障害を指すことが一般的です。


神経発達症の主な症状(DSM-5に基づく)

DSM-5における神経発達症の分類は以下の通りです。それぞれの症状が特定の発達領域に影響を与え、成長に伴い様々な困難をもたらすことがあります。

1. 自閉スペクトラム症(ASD)

 自閉スペクトラム症(ASD)は、社会的なコミュニケーションや相互作用に困難を抱え、限定的で反復的な行動を示す障害です。症状の重さや支援の必要度は個人によって異なり、スペクトラム(連続体)として捉えられます。

主な症状

  • 社会的な会話や非言語的コミュニケーションが苦手
  • 強いこだわりや同じ行動の繰り返し
  • 感覚過敏または鈍感

2. 注意欠如・多動症(ADHD)

 注意欠如・多動症(ADHD)は、不注意、衝動性、多動性が特徴の障害です。子どもの頃に診断されることが多いですが、成人期にも続くことがあります。DSM-5では「不注意型」「多動・衝動型」「混合型」に分類されます。

主な症状

  • 集中力が続かない、不注意
  • 衝動的な行動や発言
  • 過剰な動きや落ち着きのなさ

3. 限局性学習症(SLD)

 限局性学習症(SLD)は、特定の学習分野において著しい困難を伴う障害です。全般的な知能に問題はありませんが、読み書きや計算のいずれか、または複数に困難が生じます。SLDには、読字障害(ディスレクシア)、算数障害(ディスカリキュリア)などがあります。

主な症状

  • 読み書きや計算における持続的な困難
  • 正確に読み取ることや、正確に書くことが難しい
  • 学校の課題に対する極端な抵抗感

4. 運動症

 運動症には、運動や身体の動きに関連する発達特性により、日常生活に困難を生じている状態のことをいいます。発達性協調運動症(DCD)やチック症などが含まれます。

  • 発達性協調運動症: 手先や身体の動きに不器用さがあり、運動スキルの発達に遅れが見られます。日常的な動作や運動の協調が困難です。
  • チック症: 突発的で反復的な動作や音声(チック)が特徴です。特にトゥレット症候群は、多発性の運動チックと少なくとも1つの音声チックが1年以上続くことが特徴です。

5. コミュニケーション症群

 コミュニケーション症群は、言語や発話、コミュニケーションにおける問題が主な特徴です。これには、言語症語音症小児期発症流暢症(吃音)、および社会的コミュニケーション症が含まれます。

  • 言語症: 言語の理解や使用に困難がある。
  • 語音症: 正確な発音ができない。
  • 小児期発症流暢症(吃音): 話す際に流暢さが欠け、どもったり言葉を繰り返す。
  • 社会的コミュニケーション症: 会話の文脈を理解することや、適切な言葉を選ぶことが難しい。

6. 知的発達症群(知的障害)

 知的発達症群(知的障害)は、知的機能および適応行動に制限がある状態を指します。知能指数(IQ)の低下だけでなく、日常生活での適応能力や社会的スキルにも困難を伴います。DSM-5では、知的発達症は軽度から重度までのレベルで評価されます。

主な症状

  • 学習や推論における困難
  • 社会的な適応力の低下
  • 自立した生活における制限

7. その他の神経発達症群

 上記の分類に完全には当てはまらないが、発達において困難を抱えるケースもあります。DSM-5では、特定不能またはその他の特定された神経発達症というカテゴリで分類されます。


診断の流れ

神経発達症の診断は、複数の専門家による総合的な評価が必要です。具体的には以下のステップが一般的です。

  1. 初期相談
    保護者が気づいた子どもの行動や発達の問題について、小児科医や精神科医に相談します。
  2. 評価とテスト
    専門的な評価や検査、行動観察が行われ、神経発達症の有無やその種類が特定されます。
  3. 診断結果のフィードバック
    診断結果が保護者に説明され、必要な支援や治療計画が提示されます。

保護者ができる支援

 「発達に気になる」と感じたら、早めの支援を受けることが大切です。気づくのが遅くなり、支援をするタイミングが遅くなると、例えば学齢期にストレス過多により不登校傾向になったり、失敗体験により劣等感・無力感に苛まれたりなど、2次的な障害が発生し、自己効力感(セルフエフィカシー)を低下させてしまうことがあります。 
 2次障害になると、本来の特性以外でも困難を抱えることになり、社会的な自立が難しくなることもあります。

日本では、「発達障害」という用語が広く使われていますが、主に自閉スペクトラム症(ASD)やADHDなどを指すことが多いです。神経発達症は知的発達症を含んだ用語であるのに対し、発達障害という用語は、知的に遅れがない障害を指すことが一般的です。 早めの支援を行い、子の特性に応じた配慮を行うことで、2次障害を防ぎ、得意なことを伸ばしていくことで、自己効力感を高め、社会な自立を目指すことが重要だと考えています🍀

1. 早期介入と専門的支援

早期の診断と介入が重要です。必要に応じて、言語療法や行動療法、学習支援などを活用しましょう。

2. 安定したルーチンの確立

特に自閉スペクトラム症の子どもにとっては、日常の安定したルーチンが安心感を与えます。家庭や学校で一貫したスケジュールを保つよう心がけましょう。

3. ポジティブなフィードバック

成功体験を重視し、ポジティブなフィードバックを積極的に与えることで、自己肯定感を育てることができます。


まとめ

 神経発達症(医学用語)と発達障害(行政用語)の違いを解説してきました。大きな違いは、神経発達症(医学用語)には、知的障害(行政用語)も含まれるという点です。

子どもの発達が気になったり、周囲から気になることを助言されたりした際には、早期に対応していくことが大切です💪

早期からの適切な支援があれば、潜在能力を最大限に引き出すことができます。

子どもの特性を理解し、専門家と協力してBetterなサポートを行うことが大切です。

【参考文献】


 最後までお読みいただき、ありがとうございました✨
いつも、記事を読んでくださり本当にありがとうございます🍀

この記事を読まれた方が、
少しでも『神経発達症』について理解を深めていただき、
少しでも参考になれば嬉しいです🌈

今後もできる限り有益な記事を書いていきますので、
よろしくお願いします。

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