複雑性PTSDとは?〜愛着との関係〜

おすすめ本

複雑性PTSDは、
長いあいだ続いたとてつもなくつらい体験が原因で起こる心の病気です。

今回の記事では、

🍀複雑性がつくとPTSDとどう違うの?
🍀どんな症状が見られるの?
🍀愛着との関係は?
🍀どのように支援していったらいいの?

ということなどについて、
複雑性PTSDや解離性障害、愛着障害などを合わせ有する児童生徒と関わってきたこれまでの経験や、
以下の書籍を読んで学んだことを基に一緒に学んでいきましょう✏️

【参考文献】


よく見られる症状

複雑性PTSDは、
長いあいだ続いたとてつもなくつらい体験が原因で起こる心の病気です。
原因となる体験の例は次のようなものがあります

【原因例】

  • 子ども時代の虐待やネグレクト
  • 家庭内での暴力や支配
  • 戦争や監禁など逃げられない状況

出てくる症状は次のようなものがあります。

【症状の例】

🍀フラッシュバックや悪夢(体験を思い出してしまう)

🍀強い不安や落ち込み、気分の不安定さ

🍀「自分なんてダメだ」と思ってしまう自己否定感

🍀他人を信じられず、関わりを避けてしまう

🍀突然怒りが爆発したり、逆に無気力になったりする

このような症状は、学校生活や友だち関係にも大きな影響を与えてしまいます…


複雑性PTSDとPTSDの違い

PTSDと複雑性PTSDには、次のような違いがあります。

  • PTSD:一度の大きな体験(交通事故、災害、事件など)が原因になることが多い
  • 複雑性PTSD:長いあいだ続くつらい体験(虐待、DV、監禁など)が原因になる

症状としては、重なる部分もありますが
複雑性PTSDの場合、トラウマ以外にも自己肯定感の著しい低下などが見られる場合があります…

  • PTSD:
    • フラッシュバック
    • 過覚醒(いつも緊張して落ち着けない)
    • 回避(思い出すことを避ける)
  • 複雑性PTSD:
    • 上記に加えて、感情コントロールの難しさ
    • 「自分には価値がない」という思い込み
    • 人との関係がうまく作れない

愛着トラウマとの関係

愛着トラウマとは、

「大事な人との関係の中でできた心の傷」

のことです。
子どもにとって親や養育者は

「安心できる場所=安全基地」

になります。
しかし、その人から虐待や無視を受けると、心は次のような状態になります。

  • 「信じていいはずの人が信じられない」
  • 「助けてくれるはずなのに助けてもらえない」
  • 「自分は愛される価値がない」

こうした思いが積み重なると、人を信じられず孤立しやすくなります。
複雑性PTSDと愛着トラウマは深く結びついています…


解離との関係

複雑性PTSDの人には「解離(かいり)」と呼ばれる症状が出ることがあります。
解離とは、心が現実から切り離されるような感覚のことです。

  • 強いストレスの時に「心がその場にいない」感じになる
  • 記憶が飛んでしまう、体験が断片的になる
  • 現実感を失い、ふわふわした感覚におちいる

解離は日常のつらさから一時的に身を守るための脳の仕組みでもあります。
けれども、強く出すぎると日常生活や人間関係に大きな影響を与えます。

解離症状とまではいかなくても、
複雑性PTSD、愛着トラウマなどを抱える子どもたちは(大人も)

「何をされても、何も感じないようにする」

という、自分の身を心を守る術を無意識のうちに獲得していることもあります…


回復までの道のり

複雑性PTSDの回復は「ゆっくり時間をかける」ことが必須です。
短期間で治すのはむずかしく、少しずつ治療が進むイメージです。

🍀 まずは安心できる環境を整える

🍀 自分の感情や体験を少しずつ言葉にして理解する

🍀 トラウマに配慮した心理療法(認知行動療法、EMDRなど)を受ける

🍀 人との関わりを通して「信じても大丈夫」という経験を積む

回復のカギは「安全」「信頼できる人間関係」です。


支援者ができること

周囲の人や支援者にできることは次のようなことです。

🍀 無理に聞き出さず、相手のペースを大切にする

🍀 一貫した態度で接し、「裏切られない安心感」を与える

🍀 小さな成功体験を一緒に喜び、自己肯定感を育てる

🍀 必要に応じて専門家や医療機関につなぐ

🍀 「あなたは一人じゃない」と伝える

支援者が完璧である必要はありません。
ときには、暴言や暴力を受け、イラっとくることもあるでしょう…

そんな時は、一度離れて、可能なら他の支援者とバトンタッチ
支援者が落ち着いてから、支援者の感情も、子どもの感情も言語化して伝えてあげる。

支援者がどんな場合でも安定した心で関わり
その子にとって安心できる存在でいることが、何よりの力になります。


まとめ

複雑性PTSDは、

🍀 長期間続いた心の傷から生まれる病気

🍀 感情や人間関係、自己評価に広い影響を与える

🍀 背景には愛着トラウマや解離といった深い要素が関わる

🍀 回復には時間がかかるが、安全・安心な環境と信頼できる人との関係で前進できる


大切なのは、

「私は一人じゃない」
「信頼できる人もたくさんいる」
「自分は克服・回復できる」

ということを
支援者が丁寧に関わり、証明してあげること

だと考えています🍀

ただ、繰り返しになりますが
支援者が安定した心で元気、健康でいることが第一条件です。

お互い無理は禁物
適切な距離感を保っていきましょう✨


【参考文献】

最後までお読みいただき、ありがとうございました✨
いつも、記事を読んでくださり本当にありがとうございます🍀

この記事を読まれた方が、
少しでも『複雑性PTSDや愛着障害』について興味を深めていただき、
少しでも参考になれば嬉しいです🌈

今後もできる限り有益な記事を書いていきますので
よろしくお願いします。

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