『キレる子』とは?
「キレる子」とは、ちょっとしたことで怒りを爆発させたり、感情のコントロールが難しかったりする子どもを指します。
私も、学級担任時代に、何かつつけて『キレて』しまう子に対して、どのようにサポートしていくと良いのか、悩んでいました…
最近では、発達特性に環境要因が絡み合い、「キレやすい」子どもが増えていると指摘されています。
発達特性に対する適切なサポートが得られない
何らかの失敗体験が積もってしまう
自尊心の低下
このスパイラルに入ってしまうと、なかなか抜け出すことができず、結果としてキレやすくなる子もいるのではないかと考えています。
キレやすさの背景には、さまざまな要因があります。
🍀 発達特性(ADHD、ASDなど)
🍀 ストレスや不安(家庭環境、友人関係のトラブル)
🍀 自己表現の困難さ(気持ちをうまく言葉にできない)
🍀 自尊心の低下(どうせ自分なんて…)
🍀 感覚過敏(音や光に敏感で、刺激に耐えられない) etc…
『キレる』(感情の爆発)は、単なる「わがまま」ではなく、
「助けてほしい」という『SOS』のサイン かもしれません。
一番困っているのは、『キレてしまう子』自身💧
『キレる』の背景にあるさまざまな要因について、アセスメントし、支援者が連携して適切な関わりを根気よく続けることが大切です。
以下の文献を参考にしながら、それぞれの立場で、どんな関わりをすると良いのか、具体的に考えていきましょう💪
【参考文献】
『キレる子』の🔥自尊心を高める関わり
「キレる子」の背景には、 自尊心の低さ が関係していることが多くあります。
失敗経験が多かったり、人間関係でのトラブルが続いたりすると、
「自分はダメな人間だ」
「どうせ怒られるなら最初からキレてしまえ」
「どうせ何やっても、うまくいかない」
「自分を強く見せないと、誰も認めてくれない」
といった 否定的な自己イメージ を持ちやすくなります。
自尊心を高めることは、衝動的な行動の抑制にもつながります。
子どもが
「自分は価値のある存在だ」と思えるように
周囲の支援者が意識して関わることが大切です❤️
小さな成功体験を積み重ねる
「キレる子」は、失敗体験が多いため 成功体験を積む機会 を意識的に増やすことが大切です。
・ちょっとしたお手伝いで、周囲から称賛される
・ちょっと頑張ればできることを、一緒にやって、喜びを共有する
・すでにできていることに、目を向けてポジティブな言葉かけをする
また、言葉かけをする際には、
❤️支援者の気持ちは、Iメッセージ
「私は、あなたが頑張っている姿を見れて嬉しいよ。」
❤️子どもの気持ちを聞くときは、Youメッセージ
「他の子に嫌な顔されたと思って、悲しかったんだね。」
で共有すると良いでしょう!
💡 具体的な支援方法
✔ 「できたこと」を言葉で伝える(例:「さっきは落ち着いて話せたね!」)
✔ すぐに結果を求めず、プロセスを褒める(例:「最後まで頑張ったね!」)
✔ 子どもが得意なことを見つけ、活かせる場をつくる
否定的な言葉を避け、肯定的なフィードバックを増やす
「またキレたの?」と否定するのではなく、
「どうすればうまくいくか」を一緒に考える姿勢が大切です。
❤️Iメッセージ:「私は、あなたが自分の気持ちを上手に伝えられるようにサポートしたいよ。」
❤️Youメッセージ:「あなたは、〇〇されたのが、悔しかったたんだね。」
💡 具体的な関わり方
✔ 「ダメ!」ではなく「こうしたらいいね」と伝える
✔ 落ち着いて対応できたときにしっかり褒める
✔ 「キレること=悪いこと」と決めつけず、気持ちを理解する
「ありのままの自分でいい」と思える環境をつくる
「キレる子」は、周囲からの否定的な反応によって、
「どうせ自分は認めてもらえない」と感じやすいです。
そのため、 子どもの存在自体を肯定する言葉かけ(無条件の肯定) が重要になります。
❤️Iメッセージ:「私は、あなたがどんなときでも大切な存在だと思っているよ。」「あなたは、ここにいていいんだよ。」
❤️Youメッセージ:「みんなで楽しく過ごすと、穏やかな気持ちになるね。」
💡 具体的な支援方法
✔ 「あなたは大切な存在だ」と言葉で伝える
✔ 感情をコントロールできなかったときでも、人格を否定しない
✔ 「あなたは怒っているけど、私はあなたのことが好きだよ」と伝える
自尊心を育むことが、キレる行動を減らす
自尊心が高まると…
✅ 自分を大切にできる → 周囲との関係も良くなる
✅ 失敗しても「また挑戦しよう」と思える → 感情の爆発が減る
✅ 自分に自信が持てる → 衝動的な行動が減る
キレる行動の裏には、「わかってほしい」「認めてほしい」という気持ちが隠れています。
🔥 自尊心 の向上 →「自分は自分でいい。(長所も短所も含めて)」
🔥自己肯定感の向上 →「自分にはこんな価値がある」
🔥自己効力感の向上 →「自分ならきっとできる!」
と思える環境をつくること が、
長期的に見て最も効果的な支援につながると信じています✨
保護者の立場から🍀家庭でできる支援
怒りの理由を理解する
子どもの「キレる」行動を叱るだけではなく、 何が原因なのかを探る ことが重要です。
❤️ Iメッセージ:「お母さん(お父さん)は、あなたが何に困っているのか知りたいよ。」
❤️ Youメッセージ:「あなたは、学校で何か嫌なことがあったのかな?」
怒りを受けとめる
「またキレてる!」と否定せず
「〇〇な気持だったんだね」
気持ちをと共有する ことが大切です。
❤️Iメッセージ:「お母さん(お父さん)は、あなたがイライラするのも無理はないと思うよ。」
❤️Youメッセージ:「あなたは、言いたいことが伝わらなくて悲しいのかもしれないね。」
『あなたは、あなたでいい』という気持ちを伝える(無条件の肯定)
褒めて伸ばす
確かに自尊心や自己肯定感を高めるには、とても大切なことですが
🍀手伝いをしたら褒める
🍀いい成績をとったら褒める
🍀努力していることを褒める
これらは、条件付きの肯定です
条件付きの肯定ばかりしてしまうと
子どもは
「頑張っていない自分に価値はない…」
と感じてしまう可能性があります。
子どもへ
『あなたがいてくれるだけでいい』
『生まれてきてくれて、ありがとう』
『あなたは、あなたでいい』
というメッセージ【無条件の肯定】を(非言語も含め)伝えていくことが
子どもの自尊心の向上には不可欠だと考えています❤️
言葉にしなくても、親の心情は子どもに伝わります(良くも悪くも…)
教師の立場から🍀教室での対応と指導
感情の高まりに気づく
キレる前のサイン(貧乏ゆすり、ため息、顔がこわばるなど)を見逃さず、早めに声をかけましょう。
- 「どうしたの?」と落ち着いた声で話す
- 人目が気になる場合は、静かな場所に誘導する
❤️Iメッセージの活用:「先生は、あなたが困っているように見えて心配だよ。」
❤️Youメッセージの活用:「あなたは、イライラしてどうしたらいいかわからないんだね。」
怒りをエスカレートさせない対応
適切な対応
✔ 「イライラしてるんだね」(感情の認識)
✔ 「少し休もうか」(行動の切り替え)
✔ 「困っていることがあれば、話してもいいよ」(安心感を与える)
✔「クールダウンしよう」(クールダウン方法はあらかじめ決めておく)
❤️Iメッセージ:「先生は、あなたが落ち着いて話せるようにサポートしたいんだ。」
❤️Youメッセージ:「あなたは、思った通りにならなくてモヤモヤしているのかもしれないね。」
怒りの『トリガー』を探求する
『キレる』子も常にキレているわけではないと思います。
❤️どんな時には落ち着いて過ごすことができていて
💢どんな時にキレやすいのか(トリガー)を、
記録をとって探求することも大切です。
トリガーがわかれば、余計な失敗体験を減らすことに繋がり、
周囲の安心・安全にもつながります🍀
医者の立場から🍀医学的視点と治療の可能性
「キレる子」の中には、発達特性や精神的な要因によって 感情のコントロールが難しい ケースがあります。
医学的な視点から適切な治療を検討することで、 日常生活の困難を軽減できる可能性 があります。
ADHDやASDなどの特性によるキレやすさ
「キレる」行動が、ADHD(注意欠如・多動症)やASD(自閉スペクトラム症)に関連していることがあります。
直接な原因というよりは、
- ストレスや不安の感じやすさ(家庭環境、友人関係のトラブル)
- 自己表現の困難さ(気持ちをうまく言葉にできない)
- 自尊心の低下(どうせ自分なんて…)
- 感覚過敏(音や光に敏感で、刺激に耐えられない)
- 衝動的な行動
- 認知の歪み
- 相手(自分)の感情理解の難しさ etc…
の発達特性により、キレやすくなっている可能性があります。
❤️Iメッセージ:「私は、あなたの困りごとを減らせるようにサポートしたいと思っているよ。」
❤️Youメッセージ:「あなたは、自分でもコントロールできなくて困っているんだね。」
必要に応じた治療(薬物療法)
「キレる子」の症状が 発達特性や精神的な問題 に関連している場合、 薬物療法が有効な場合 があります。
ただし、 薬物療法はあくまで補助的な手段 であり、環境調整や心理的支援と組み合わせることが重要です🍀
薬物療法の注意点
- すぐに効果が出るわけではない → 数週間の継続が必要なものもある
- 副作用に注意 → 眠気・食欲低下・胃腸症状など
- 医師と相談しながら調整が必要 → 効果と副作用を見ながら調整する
❤️Iメッセージ:「私は、あなたが安心して過ごせるように、お薬についても一緒に考えたいと思っているよ。」
❤️Youメッセージ:「あなたは、落ち着いて過ごせる方法を探しているんだね。」
薬物療法は万能ではありませんが、 適切に活用することで生活の質を向上させる助け になります。
子どもに合った方法を見つけ、 チームで支える姿勢 が重要です。
カウンセラー(心理士)の役割
心理士は、 子どもの心のケア を専門とし、個別カウンセリングや集団プログラムを通じて支援を行います。
主な支援内容
✅ 個別カウンセリング(子どもの気持ちを整理し、適切な表現方法を学ぶ)
✅ ソーシャルスキルトレーニング(SST)(対人関係のスキルを伸ばす)
✅ 怒りのコントロール指導(アンガーマネジメント)(感情調整の方法を学ぶ)
✅認知行動療法(CBT)(自分の認知パターンを分析し、考え方を変える)
✅ 家庭や教師への助言(子どもに合った関わり方を伝える)
❤️Iメッセージ:「私は、あなたが安心して気持ちを話せるようにお手伝いしたいと思っているよ。」
❤️Youメッセージ:「あなたは、どうしていいかわからなくて困っているんだね。」
ソーシャルワーカー(社会福祉士)の役割
ソーシャルワーカーは、 家庭環境や社会的要因 に関する支援を行い、行政や福祉サービスとの橋渡しを担います。
主な支援内容
✅ 家族支援(経済的・生活面での課題をサポート)
✅ 福祉サービスの紹介(医療・教育・福祉の適切な機関につなぐ)
✅ 学校と家庭の連携支援(家庭の困りごとを学校と共有し、協力体制をつくる)
✅ 虐待やネグレクトの対応(子どもの安全を確保し、必要な支援につなげる)
❤️Iメッセージ:「私は、あなたやご家族が安心して生活できるようにお手伝いしたいと思っています。」
❤️Youメッセージ:「あなたは、家庭や学校のことで困っていることがあるのかもしれないね。」心理士の立場から:心のケアと環境調整
他職種連携の重要性:チームで支える支援
「キレる子」の支援には、一人の支援者だけでなく、 教師・保護者・医者・心理士など、多職種が連携すること が不可欠です。
それぞれの役割を理解する
✅ 教師:「日々の学校生活の中で子どもの様子を観察し、適切な対応を行う」
✅ 保護者:「子のありのままを認め、自尊心を高める。他機関と情報共有を行う」
✅ 医者:「発達特性や医学的な問題が関係しているかを診断し、必要に応じて治療を行う」
✅ 心理士:「子どもの心理的ケアを行い、適切な支援方法を提案する」
連携のポイント
- 定期的な情報共有(学校・家庭・医療機関・心理支援機関での情報を交換)
- 支援の方向性を統一する(一貫した対応で子どもが混乱しないようにする)
- 子どもの特性に応じたサポートを検討する(例えば、環境調整やトレーニングの実施)
多職種が連携することで、子どもにとってより良い支援が可能になります。
教師・保護者・医者・心理士・福祉士などがチームとなり、 「キレる子」の成長を支える関係づくり が大切です。
まとめ
「キレる子」に対して、 叱るだけではなく、適切な関わり方を考える ことが大切です。
それぞれの立場から、以下のような対応を心がけましょう。
✅ 教師:「感情の高まり」に気づき、クールダウンの時間を作る
✅ 保護者:怒りの背景を理解し、安心できる環境を整える
✅ 医者:必要に応じて診断や治療を行う
✅ 心理士:怒りのコントロール方法を一緒に学ぶ
✅ 他職種連携:チームで子どもを支える仕組みをつくる
✅ 自尊心を高める:成功体験を増やし、肯定的な関わりを意識する
子どもの怒りの裏には、 SOSのサインが隠れている ことが多いです。
子ども自身も「どうしたらいいかわからない」状態になっているため、
大人が冷静に対応すること が重要です。
「キレる子」を 支える視点 を持ち、長期的な成長を見守っていきましょう💪
【参考文献】
最後までお読みいただき、ありがとうございました✨
いつも、記事を読んでくださり本当にありがとうございます🍀
この記事を読まれた方が、
少しでも『キレる子と関わる支援者の心構え』について興味を深めていただき、
少しでも参考になれば嬉しいです🌈
今後もできる限り有益な記事を書いていきますので
よろしくお願いします。
コメント