行動経済学とは?
行動経済学は、
「人は必ずしも合理的に行動しない」
という前提からスタートする新しい経済学の分野です。
心理学と経済学を組み合わせ、
「なぜ人は不合理な選択をするのか」
「どうすればよい行動を選びやすくなるか」
を研究します。
この考え方は、日常生活はもちろん、教育の現場でも活かせるのではないかと感じ、記事にしてみました。
子どもの やる気(モチベーション)
習慣づけ
意思決定
に行動経済学の考え方が有効だと考えています💪
なぜ勉強をしないのか?
〜感情が行動を左右する理由〜
子どもたちが「やった方がいいと分かっていても、行動に移せない」のは、決して意志が弱いからではありません。
実は、次のような心理的バイアスが関係しています。
■子どもの行動に影響する主なバイアス

こうしたバイアスを理解することで、子どもたちの「行動の背景」が見えてきます。
その上で、どう働きかけるかが重要です。
ナッジ理論とは?
〜やさしく行動をうながす工夫〜
ナッジ(nudge)とは「そっと背中を押す」という意味。
行動経済学では、「強制せずに、より良い選択を促す工夫」をナッジと呼びます。
たとえば、
- 牛乳を目につきやすい棚に置く(→選ばれやすくなる)
- 選択肢を「Aに同意」から「Aに同意しない」と変える(→初期設定の影響)
このナッジは、子どもたちの勉強・生活習慣にも効果的に使えます。
教室で使える!行動経済学のナッジ実例
■1.デフォルト(初期設定)を変える
✅ BEFORE
「朝学習は希望者のみ」 →「 希望がなければ不参加」
外から帰ってきたら、手を洗うように声掛けする
→洗わない子がいたら、指導する
✅ AFTER
「朝学習は全員参加。ただし希望者は辞退可能」
→ 面倒を避けたい心理から、結果的に多くが参加する
外から帰ってきたら、教室に入る前に、手洗い場へ誘導するための仕切り、矢印の設置
手を洗わないことのデメリットを伝える(損失回避の利用)
■2.見える化(可視化)でやる気をキープ
- 学習進捗表にシールを貼る
- 習慣のチェックリストを使う
- 成績の「前回比」をグラフで示す
→ 成長が見えると「もっと頑張りたい」と思えるようになります
■3.社会的証明を活用する
「〇〇さんも家庭学習がんばってます!」
「クラスの8割が宿題を提出しました」
→ 他者の行動が、自分の行動を後押しする力になる
■4.損失回避を利用する
「今の調子をキープすれば通知表も安心!」
→ “悪くなる”ことを避けようとする心理が働く
■5.選択肢を与える(選択の自由)
「宿題AとB、どちらからやる?」
→ 子どもに“決定権”があると感じさせると、主体性が高まる
保護者・教師にできること
行動経済学は、指示や強制よりも、環境の工夫に力を入れます。
子どもを責めるのではなく、「行動しやすい仕掛け」を整えることがポイントです。
■家庭でできるナッジ
- リビングに学習机を設置(→自然と座る)
- スマホの制限時間を「デフォルトで設定」
- 「がんばったことリスト」を冷蔵庫に貼る
■教師が使える工夫
- 学習状況を「前回比」で見せる(成長を実感)
- ポジティブな声かけを“習慣化”する
- クラス内で「目に見える努力」が評価される仕組みをつくる
行動経済学ナッジのしくみ(教育版)

教育ナッジの注意点
ナッジは“やさしい誘導”ですが、
意図的に操作すると行動の自由を奪う恐れもあります。
次の3つの原則を守ることが大切です。
■ナッジ実践の3原則
- 選択肢を奪わない(自由は残す)
- 子どもの尊厳を大切にする
- 透明性を保つ(なぜやっているか説明できる)
まとめ
行動経済学は、教育現場での子ども理解の新しい視点になります。
子どもたちは、「やる気がない」のではなく、
環境や感情の影響で動けないことが多いのです。
ちょっとした声かけや環境設定を工夫するだけで、
「やらなきゃ」ではなく「やりたくなる」行動が引き出せます。
行動経済学の考え方を活用して
「やさしく背中を押す教育」
を心がけていきたいです。
教師も子どもも、気持ちよく過ごせる環境を目指したいですね🍀
最後までお読みいただき、ありがとうございました✨
いつも、記事を読んでくださり本当にありがとうございます🍀
この記事を読まれた方が、
少しでも『教育に活かせる行動経済学』について興味を深めていただき、
少しでも参考になれば嬉しいです🌈
今後もできる限り有益な記事を書いていきますので
よろしくお願いします。
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