自己決定力とは、
自分の生活や選択において、自らの意思で決定を行い、
その結果に責任を持つ力を指します。
自己決定力は、子どもたちの将来的な自立に向けて必要不可欠な力です。
発達障害や知的障害のある子どもたちは、日常生活や学習において、他者からのサポートが必要な場面が多いですが、だからこそ自分で選び、決める力を持つことは、生活の質を向上させ、自尊心や自己効力感を高めることにが大切です💪
今回は以下の文献を参考に、
特別支援教育における自己決定力の重要性と、
その具体的な育成方法について解説します。
【参考文献】
発達障害や知的障害のある子どもへの自己決定力の重要性
発達障害や知的障害を持つ子どもたちには、他者のサポートが必要なことが多いです。
その一方で、自己決定力を育むことは、将来的な自立生活を送る上で大切な要素となります。
自己決定力は、自分の生活や選択肢に対するコントロール感をもたらし、自己表現や自己管理の力を高めます。
例えば、知的障害を持つ子どもが学校で「自分で選ぶ」という経験を積むことで、意思決定の感覚を養い、選択に対する自信を持つことができます。
これは、生活の中での小さな決断から始まり、
次第に将来の進路や日常生活の選択に関わるような大きな決断へとつながっていきます。
自己決定力を持つことで、支援が必要な場面でも自分のニーズや望む支援を的確に伝えることができ、より適切なサポートを受けることができます。
自己決定力の向上が、生活の質を向上し、長期的には自立への道がひらけてきます🍀
発達障害や知的障害のある子どもへの自己決定力の育成方法
自己決定力を育むには、継続的なサポートと環境づくりが必要です。
具体例を5つの観点から紹介します。
1. ビジュアルサポートを活用する
発達障害や知的障害を持つ子どもたちは、視覚的な情報を通じて物事を理解することが得意な場合が多いです。言葉だけでは理解が難しいことも、絵や写真を使うことで選択肢を明確にし、意思決定を促すことが可能です。
具体例
- 選択カード: 食事のメニューや遊びの内容を絵や写真で表したカードを提示し、自分の好きなものを選ばせることで、選択の機会を与えます。たとえば、昼食時に「カレー」か「サンドイッチ」の絵カードを使って選ばせることで、具体的に何を選んでいるかを視覚的に理解させます。
- スケジュールボード: 毎日の活動を視覚的に整理し、次に何を行うかを明示するボードを使います。子ども自身がそのスケジュールの中で選択をする場面を設定し、どの活動を行うかを決めさせることで、自己決定の場面を日常生活に組み込むことができます。
2. 明確な選択肢を提示する
選択肢が多すぎたり、曖昧だったりすると、子どもたちは混乱しやすくなります。まずはシンプルで明確な選択肢を提示することで、意思決定のプロセスがスムーズに進むようにします。
具体例
- 二者択一の選択: 最初は2つの選択肢を提示し、簡単に選べるようにします。例えば、「赤いシャツを着るか、青いシャツを着るか」「砂遊びをするか、積み木遊びをするか」といった具合です。このように限られた選択肢から始めることで、子どもは意思決定に対する自信を少しずつ育んでいきます。
- 選択肢を段階的に増やす: 慣れてきたら、選択肢の数を増やしていきますが、各選択肢の結果を具体的に説明し、それがどのような結末をもたらすかを明確にすることが大切です。選択肢が多いほど複雑になりますが、子どもの興味や能力に応じて調整します。
- 遊びの選択: 学校や家での遊びの時間に、自由に遊びたいことを選ばせることで、意思決定の機会を増やします。具体的には、「ブロック遊び」「絵を描く」「外で遊ぶ」などの選択肢を与え、どの遊びを選ぶかを自分で決めさせます。
3. 代替コミュニケーション手段の活用
言葉で意思を表現するのが難しい子どもたちには、代替コミュニケーション手段(AAC)を活用することが非常に有効です。これにより、言語能力に制約がある子どもたちでも自分の意思を適切に伝えることができるようになります。
具体例
- タブレットやコミュニケーションアプリ: 子どもが自分の意思を視覚的に表現できるアプリを利用し、タブレット上で選択肢を提示して、それを選ばせることで、意思決定の機会を提供します。
- PECS(絵交換コミュニケーションシステム): 絵カードを使って、子どもが自分の欲しいものや望む活動を表現する方法です。例えば、おやつの時間に「クッキー」「チョコレート」といった選択肢を絵カードで提示し、欲しいものを選ばせることで自己決定力を養います。
4. 適切なフィードバックと振り返りの機会を与える
自己決定力を育てるためには、意思決定の結果に対するフィードバックと振り返りの機会が重要です。成功体験を積むだけでなく、選択が失敗した場合にも、それを学びの機会として捉えるサポートが必要です。
具体例
- ポジティブなフィードバック: 子どもが自分で選んだ結果がうまくいった場合、その選択を称賛し、「あなたが選んだからこの結果が得られたね」と肯定的なフィードバックを与えます。これにより、子どもは自己決定に対する自信を深めます。
- 失敗からの学び: 選択が失敗した場合も、「次はどんな選択がいいと思う?」と振り返りの時間を設け、次回にどう生かすかを一緒に考えます。これにより、選択に失敗しても恐れずに挑戦する姿勢が育まれます。
5. 安心して選択できる環境づくり
発達障害や知的障害のある子どもたちが安心して意思決定できる環境を整えることが大切です。選択に対して「間違えても大丈夫」と思える雰囲気を作ることで、意思決定に挑戦しやすくなります。
具体例
- 選択の場を頻繁に提供: 日常生活の中で、選択する機会を多く与えます。朝食のメニューや遊びの時間に行う活動など、小さな選択から始めることで、子どもが自己決定に慣れ、意思決定の感覚を育てていくことができます。
- リスクの少ない選択肢を提供: どちらを選んでも大きな失敗につながらないような選択肢を用意します。例えば、「外で遊ぶか、室内でブロック遊びをするか」といった選択肢を与え、安心して選択できるように配慮します。
まとめ
自己決定力は、子どもたちが自立した生活を送るために不可欠な力です。
ビジュアルサポートや代替コミュニケーション手段を活用し、日常的に選択の機会を設けることが大切です。
適切なフィードバックや安心して選択できる環境づくりを通じて、子どもたちは少しずつ自己決定力を高めていくことができると信じています✨
特別支援教育に携わるものとして、
これからも子どもたちの自立への道を支援していけるよう尽力します💪
【参考文献】
最後までお読みいただき、ありがとうございました✨
いつも、記事を読んでくださり本当にありがとうございます🍀
この記事を読まれた方が、
少しでも『自己決定力』について理解を深めていただき、
少しでも参考になれば嬉しいです🌈
今後もできる限り有益な記事を書いていきますので、
よろしくお願いします。
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