発達特性のある子に、どんなふうに声をかけたらいいんだろう?
注意しても伝わらなかったり
逆にパニックになってしまったり…
そんな時、少し言葉のかけ方を変えるだけで、子どもとの関係がぐっとよくなることがあります。
今回は、以下の文献を参考に場面別に「伝わる言葉かけ」について考えていきましょう🍀
【参考文献】
遊びがやめられない子へ伝わる言葉かけ
遊びに夢中になっている子に
「もうやめて!」
「早く片づけて!」
と言っても、なかなかうまくいきませんよね…
そんな時は、急がせるよりも「見通しを伝える」ことが大切です。
- 「あと何分」「あと何回」と具体的に伝える
- 終わったあとに待っているお楽しみをセットで伝える
声かけの例
- 「すべり台あと3回すべったら、お片づけの時間にしようね」
- 「おもちゃをしまったら、先生と絵本見ようね」
タイマーや視覚的なサポートも使うと、より伝わりやすくなります。
周りから遅れる子への言葉かけ
ペースがゆっくりな子は、まわりと比べられてしまって、落ち込むこともあります。
「早くして」はプレッシャーになってしまうことが多いんです。
- 「その子らしいペース」を認めてあげる
- すでにできていること、できたこと、小さな成長を見つけてほめる
声かけの例
- 「ていねいにやってるね。がんばってるのが伝わるよ」
- 「最後までやりきって、すごいね!」
まわりと比べるより、「ちょっと前のその子」と比べて声をかけてみましょう。
相手の気持ちがわからない子への言葉かけ
相手の気持ちに気づくのが難しい子もいます。
その子自身に悪気はなくても、周りからは「冷たい」「空気が読めない」と見られることも。
- 相手の気持ちを、わかりやすく言葉にして伝えてあげる
- できるだけ具体的に、目の前の状況にそって説明する
- イラストや写真、感情カードなど視覚的にわかりやすい教材を使って伝える
声かけの例
- 「〇〇ちゃん、泣いてたね。おもちゃを取られて悲しかったのかも」
- 「その言葉、△△くんはびっくりしてたみたいだよ」
絵カードや表情の写真を使って感情を見せるのもおすすめです。
固まってしまう子への言葉かけ
予定が変わったり、不安なことや、びっくりすることがあると、固まって動けなくなる子がいます。
そんなときは、無理に動かそうとせずに、「安心」を伝えることが大切です。
- すぐに動かさず、そっと待つこと
- 落ち着くまで見守りながら、「大丈夫」を伝える
- 柔軟な参加方法を提案する(見る、大人と一緒にする、5分だけ参加するetc…
声かけの例
- 「びっくりしたね。今はここにいていいよ」
- 「準備できたら教えてくれる? ゆっくりでいいからね」
「固まっている=考えている・感じている最中」かもしれません。
思考にかかる時間は人それぞれです。
私は、子どもに言葉かけした後、
少なくとも10秒は黙って待つ
ことを心がけています。
急がず、見守る姿勢が、子どもの安心感につながります。
自分の感情を言葉にするのが苦手な子も多いです。
イラストを使うなどして、支援者が行動の選択肢を伝え、本人と一緒に考えることも有効です🍀
ルールが守れない(わからない)子への言葉かけ
ルールがうまく理解できなかったり、すぐ忘れてしまう子もいます。
「何回言ったらわかるの!」と感じることもあるかもしれません。
- 否定よりも「してほしいこと」を短く伝える
- 一度にいくつも言わない。まずはひとつにしぼって
声かけの例
- 「おしゃべりしたいときは、手をあげてね」
- 「走らずに歩こうね」
掲示やイラストなどで「見えるルール」を作っておくと、覚えやすくなりますよ。
危険な行動をしてしまう子への言葉かけ
高いところに登ったり、急に走り出したり…。
子どもは悪気があるわけじゃなくても、ヒヤッとする場面がありますよね。
- 叱るより「どうして危ないのか」を伝える
- 「してほしい行動」に置きかえる
声かけの例
- 「ここから落ちたらケガしちゃうかも。ジャンプは床でしようね」
- 「走るとぶつかるから、歩こう」
感情的に怒ると、子どもは「怒られた」ことしか覚えていないこともあります。
落ち着いて、やさしく、でもしっかり伝えるのがコツです。
友達を叩いてしまう子への言葉かけ
思い通りにいかないと、手が出てしまう…。そんな子には、まだ言葉で気持ちを表す力が育っていないのかもしれません。
- まず気持ちを受けとめてあげる
- 次にどう伝えたらいいか、一緒に考えてみる
声かけの例
- 「イヤだったんだね。でも、手じゃなくて言葉で伝えよう」
- 「『やめて』って言ってみようか」
叩いたことを責めるだけでなく、「どうしたらよかったか」を教えていくことが大事です。
きつい言葉を使う子への言葉かけ
「バカ!」「うるさい!」などの強い言葉を使う子もいます。
実はこれ、「どう伝えたらいいか」がまだわからないだけかもしれません。
- 本人の気持ちを聞いてあげること
- 相手の気持ちを代弁してあげること
- 代わりの適切な言葉を教えてあげること
声かけの例
- 「イライラしてたんだね。『やめて』って言ってみようか」
- 「バカって言われると、相手は悲しくなるよ。別の言い方を考えてみよう」
きつい言葉を頻発する子の中には、
他に適切な言葉を知らない子も多いです。
適切な言葉を繰り返し一緒に練習していくことで
少しずつ言葉の選び方を身につけてけると信じています✨
気になる子の保護者への言葉かけ
子ども本人への関わりだけでなく、保護者とのやりとりもとても大切です。
保護者は、日々の子育てのなかで
「どうしてこの子は…」
と悩んでいることが多くあります。
こちらの言葉かけ一つで、保護者が安心したり、逆に不安になったりすることもあります🍀
- 評価やアドバイスよりも、まず「共感」と「ねぎらい」
- 子どものよいところ、小さな成長を一緒に見つけて伝える
- 比較するのは、少し前の本人
※ 同い年の周囲の子とどうしても比較をしてしまいますが、
比較による承認だと、表面上の言葉になってしまい子の心に響かないことが多いです。
声かけの例
- 「〇〇くん、最後まで座って話を聞こうとしてましたよ。頑張ってましたね」
- 「お母さん(お父さん)も、毎日本当にがんばっておられますね」
- 「この子の良さ、たくさんありますね。ゆっくり育っていきましょうね」
- この前まで難しかったことが、できるようになってきました✨
保護者は、
「この子に問題がある」と言われるのでは…
と不安な気持ちで話を聞いていることも。
だからこそ、まずは安心できる言葉を届けることが、信頼関係を築く第一歩になります。
気をつけたいのは
- 否定的な言葉や、急なアドバイスは避ける
- 比較や決めつけの言い方をしない
NGになりがちな例
- 「もっと厳しくした方がいいかもしれませんね」
- 「同じ年の子はもうできてますよ」
保護者が「ここでなら話していい」「わかってもらえる」と感じられるかどうかが大切です。
子どもだけでなく、保護者にも寄り添うことが、支援の土台をつくります。
最後に
発達が気になる子どもたちには、
その子なりの「伝わりやすさ」「わかりやすさ」があります。
無理に大人のやり方に合わせさせるのではなく、その子に合わせた言葉かけを意識することが大切です🍀
「伝わった」
「わかってもらえた」
という体験が、子どもにとって大きな安心と自信になります。
少しずつ、子どもと心が通じ合う言葉かけを、一緒に育てていきましょう🍀
【参考文献】
最後までお読みいただき、ありがとうございました✨
いつも、記事を読んでくださり本当にありがとうございます🍀
この記事を読まれた方が、
少しでも『発達特性のある子への言葉かけ』について興味を深めていただき、
少しでも参考になれば嬉しいです🌈
今後もできる限り有益な記事を書いていきますので
よろしくお願いします。
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