夏には、来年度の就学先を相談する場である『就学相談会』が各地域で行われます。就学相談員である私は、地域の保育園・幼稚園・小学校・中学校へ出向き、児童生徒の実態をできる限り丁寧に観察した上で、就学先についての情報提供を行なっています。
今回は、『特別支援学級』に焦点化し、障害種別や対象となる児童生徒について解説していきます💪
【参考文献】
特別支援学級の対象児童について
特別支援学級は、特別な教育的支援を必要とする児童生徒を対象とした学級です。具体的には、以下の6つの障害種別に対応する特別支援学級があります。それぞれの学級で支援される児童について詳しく説明します。
1. 知的障害学級
知的障害学級は、知的発達に遅れが見られ、一般の学級での学習が困難な児童を対象としています。概念の理解や問題解決能力において遅れがある場合、個々の発達段階に応じた指導が必要です。知的障害学級では、学習内容だけでなく、生活技能の習得を重視し、児童が社会に出て自立した生活を送るための基本的な能力を養います。
指導は、一人ひとりの能力や興味に合わせた個別化されたプログラムを組みながら、小集団で行われます。「生活単元学習」など、各教科を合わせた指導をするのが特徴で、より日常的な生活経験から学びを広げて定着することを目指します。
2. 自閉症・情緒障害学級
自閉症・情緒障害学級は、自閉症スペクトラム障害(ASD)や情緒障害のある児童生徒を対象としています。
- 自閉症スペクトラム障害(ASD)は、社会的なコミュニケーションや対人関係において困難さが見られます。予測できない変化に対して強いストレスを感じることがあるため、見通しを持ちやすい場の構造化などの環境調整が求められます。自閉症・情緒障害学級では、「自立活動」という科目で社会性の向上やコミュニケーション能力の向上を目的とした指導が行われます。
- 情緒障害は、不安や抑うつ、行動の制御が難しいなどの情緒的な困難さが見られます。小集団で情緒の安定と自己表現の向上を目指した指導・支援を行います。
※ その他の発達障害(SLD:限局性学習症、ADHD:注意欠如多動症、DCD:発達性協調運動症など)は特別支援学級の対象ではありません。ほとんどの時間を通常学級で学びながら、週に数回通級指導教室で指導を受けている児童生徒がいます。
3. 肢体不自由学級
肢体不自由学級は、運動機能の障害により身体の一部または全部を自由に動かせない児童を対象としています。肢体不自由学級では、必要に応じて理学療法士や作業療法士とも連携しながら、「自立活動」という科目で移動や日常生活の動作、適切な補助具の使用や学習環境の調整を行います。また、身体状況に応じた特別な学習方法や教材を活用し、児童が最大限に学びを深められるよう支援します。
4. 病弱・身体虚弱学級
病弱・身体虚弱学級は、慢性的な病気や体力の低下により、長期間の療養や生活規制、医療連携が必要な児童を対象としています。心臓病や腎臓病、呼吸器疾患などが含まれます。病弱・身体虚弱学級では、児童の健康状態に応じた柔軟な学習計画が立てられ、実態に応じて在宅学習や病院内での教育が提供されることもあります。医療スタッフとの連携を密にし、児童の体調に配慮した学習環境を整備しながら、学習の継続を支援します。
5. 難聴学級
難聴学級は、聴覚の低下または欠如により音声を認識することが困難な児童を対象としています。難聴の程度に応じて、補聴器の使用や手話、筆談などのコミュニケーション手段を活用します。難聴学級では、聴覚障害の程度や児童のニーズに応じて、個別に調整された教育プランをたて、視覚教材やICTの活用など、多様な感覚を活用した学習方法・環境を整備します。
6. 弱視学級
弱視学級は、視力の低下または欠如により視覚情報を得ることが困難な児童を対象としています。弱視の程度に応じて、点字や拡大教科書、音声教材などを活用します。弱視学級では、視覚障害の程度に応じた支援が行われ、「自立活動」という科目で児童が自立して学習できる力の向上を目指します。
まとめ
特別支援学級は、知的障害、自閉症・情緒障害、肢体不自由、病弱・身体虚弱、難聴、弱視といった多様な障害を持つ児童を対象とし、個々のニーズに応じた指導・支援を提供する場です。
障害のある児童が
・自立した生活を送り、社会で活躍できるようになるための基盤を築くこと
・それぞれの学級での学びを通じて、自己肯定感を高めること
・他者とのコミュニケーション能力を養うこと
・共生社会の実現に向けて成長していくこと
などを目指して、指導・支援を行います💪
最後までお読みいただき、ありがとうございました✨
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今後もできる限り有益な記事を書いていきますので、よろしくお願いします。
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