プレイセラピーとは、
子どもが自らの感情や思考を表現するための心理療法の一つです。
言葉での表現が未熟な子どもにとって、遊びは最も自然なコミュニケーション手段となります。
プレイセラピーは、遊びを通して子どもの心の内側にアクセスし、問題の理解や解決を促す方法です。
この療法は主に3歳から12歳の子どもを対象とし、以下のような心理的課題を対象としています。
🍀 不安
🍀 恐怖
🍀 トラウマ
🍀 行動問題
🍀 発達障害
🍀 愛着障害
プレイセラピストは安全で自由な環境を提供し、子どもが自分自身を自由に表現できるようサポートします。
今回は、『プレイセラピー』について、以下の文献を参考にしながら一緒に学んでいきましょう💪
【参考文献】
遊びの治癒力
遊びは子どもの成長と発達には欠かせません。
自由な遊びを通して、子どもは次のような成長をします🍀
- 感情の発散(コントロール)
- 自らの経験の再現
- 内面的な葛藤の解消
- 自尊心や自己効力感の向上
- 対人スキルの習得
『遊びは子どもにとっての言語』
プレイセラピーではさまざまな玩具や道具を用いて、子どもが内面世界を自由に表現できる場を提供します。
プレイセラピーの技法
プレイセラピーには、子どもの表現を理解しサポートするためのいくつかの技法があります。
ここでは代表的な4つの技法を紹介します。
これらの技法は、保護者の方々が日常生活で子どもと接する際にも参考になると思います🍀
トラッキング:行動の言語化
トラッキングとは、子どもの行動や遊びを言語化して伝える技法です。例えば、子どもがブロックを積んでいる場合、「それを高く積んでいるね」と声をかけます。
トラッキングでは、固有名詞ではなく、『それ』や『これ』を使います。
大人にとってのブロックは、子どもにとってもブロックとは限らないからです。
ブロックを別の何かに、見立てて遊んでいるかもしれません。
ミニカーをぐるぐる回している場合も
「それをぐるぐる回しているね。」
とトラッキングします。
子どもにとって、ミニカーは単なる車ではなく
自分や他の誰かを表している可能性もあります。
それを大人が『車』と決めつけてしまうと
子どもにとって、
「自分の気持ちが認められていないのかな?」
「これは、車でないといけないのかな?」
と感じてしまい、大人の顔色を窺って遊ぶようになりかねません…
【トラッキングの効果】
- 自己肯定感の向上
- 自らの行動を客観的に見るきっかけの提供
【具体的な発言例】
- 「それ(車)をぐるぐる回しているね。」
- 「それ(お人形)にご飯を食べさせてあげてるんだね。」
- 「たくさんの色を使って絵を描いているね。」
- 「それ(ブロック)を高く積み上げたね。」
家庭でも、子どもの遊びを観察し、言葉にして伝えることで、安心感を与えられます。
内容の伝え返し
内容の伝え返しは、子どもの発言や表現を繰り返し返すことで、理解を示す技法です。
しかし、子どもが言った内容や言い方をそのままオウム返しにはしません。
子どもが言葉にしたことを同じ意味を持つ言葉で言い換えたり、そのメッセージがどのように聞こえたかを忠実に表すような抑揚で言い換えることで、子どもは「わかってくれた」と感じます。
例えば、子どもが
「このお人形は悲しんでる」
と言った場合、
「お人形さんは悲しいんだね」
などと抑揚をつけて返します。
子どもの様子によって
「お人形」を強調したり
「悲しい」気持ちを強調したりなど
適切な抑揚をつけて、内容の伝え返しをすることで
さらに子どもは「わかってくれた」と感じやすくなります❤️
【内容の伝え返しの効果】
- 自分の気持ちが受け入れられていると感じる
- 深い表現を促進する
【具体的な発言例】
- 「それ(電車)は速く走って気持ちいいんだね。」
- 「それ(犬)は吠えて怒っているんだね」
- 「そこ(家)にはたくさんの人が住んでるんだね。」
- 「それ(怪獣)が怖いんだね。」
- 「それ(車)はお友達のものなんだね。」
ご家庭でも、日常会話の中で伝え返しを行うことで、
「気持ちをわかってくれる」と感じ
子どもは安心して話しやすくなります🍀
もちろん、親として
「もっと頑張れよ…」
「自分もわるいんじゃない?」
と言いたい気持ちは重々わかるのですが、
そこはこらえて、内容を伝え返してあげ、気持ちを共有することも大切だと考えています❤️
感情の反射
感情の反射は、子どもの言動の背景にある感情に焦点を当てて返す技法です。
例えば、子どもが怒りながら車のおもちゃを壊している場合、
「とても怒っているんだね」
と声をかけます。
反射は、行動と気持ちのつながりを促進します❤️
子どもは、自分の行動がどんな感情のせいなのか、認識できていないことも多いです。
悲しいから泣く
頭に来たから、兄弟を叩く
寂しいから、暴言を吐く
悲しいから怒る etc…
感情の反射をすることで、子どもの頭の中で行動と気持ちがつながりやすくなります。
【効果】
- 感情の認識を助ける
- 感情の言語化を促進する
【具体的な発言例】
- 「悲しい気持ちなんだね。」
- 「それがとても楽しいんだね。」
- 「今、ちょっとイライラしてるのかな?」
- 「びっくりしたんだね。」
- 「その時、怖かったんだね。」
お子さんが感情を爆発させたときも、親が子どもの言動の背景にある感情を想像し、反射を使うことで、冷静に気持ちを受け止めやすくなります。
制限の設定
プレイセラピーでは基本的に自由な遊びを重視しますが、
安全性や倫理的な観点から制限を設けることも必要です。
もちろんご家庭でも、遊びの中で適切なルールを設けることが大切です。
制限とは、物事にある限界を設けることです。制限は、プレイセラピーを行う上で設定するルールです。
考えや気持ちを表現する上で
受け入れられる行動と
受け入れられない行動
に分けます。
制限が適切に行われると、プレイセラピーは順調・安全に進み、治療的効果が最大限に高まります。
制限をしなければ、プレイセラピーは心理的にも身体的にも脅威を感じたり混乱を招いたりする可能性が高まり、治療的関係は損なわれてしまいます。
制限を通して子どもは、
適切なやり方であらゆる感情や欲求を表現できる
ということを学んでいきます。
【制限の例】
- 自分や他人の身体を傷つけない。
- おもちゃや遊び道具を、わざと傷つけてはいけない。
- おもちゃを持ち帰ってはいけない。
- 終わりの時間になったら、部屋から出なければならない。
- 性的な行動は許されない。
- 衣服を脱がない。 etc…
その他にも、セラピストの個性によって様々な制限が設けられる場合があります。
子どもが、制限に従えない場合は冷静に次のように対応します。
「セラピーで遊ぶ時間が足りないから、怒っているんだね」
「それで、私を叩くのはいけないよ」
「代わりに、このクッションや、粘土で作った模型を叩くことはできるよ。」
「私を叩くことを選ぶのだったら、今日それ(バット)は使えなくなるよ。」
「私を叩くことを選んだということは、今日はそれを使わないことを選んだのね。」
その後、子どもがどんなに癇癪を起こしたり、懇願したりしても許可してはいけません。
「私を叩くことを選んで、今日はもう使えなくなってしまったから、怒っているのね。また次回は使えるよ。」
【効果】
適切な行動や自己制御の学習
家庭でのルール設定も、子どもに安心感と秩序を提供する大切な要素です。
まとめ
プレイセラピーは、遊びを通じて子どもの内面に寄り添い、心の成長や回復を促す心理療法です。
言葉だけでは表現しきれない感情や葛藤を、遊びという自然な形で表現できる場を提供します。
以下の技法を用いることで、子どもは自分自身を理解し、安心して表現できるようになります。
- トラッキング
- 内容の伝え返し
- 感情の反射
- 制限の設定
ご家庭でのお子さんとの関わりでも、ヒントになることが多いと感じるのが、プレイセラピーの技法です。
日常生活の中で少し意識して声をかけることで、お子さんとのコミュニケーションが深まり、心の成長をサポートできると考えています。
遊びの力は無限大♾️
【参考文献】
最後までお読みいただき、ありがとうございました✨
いつも、記事を読んでくださり本当にありがとうございます🍀
この記事を読まれた方が、
少しでも『プレイセラピー』について興味を深めていただき、
少しでも参考になれば嬉しいです🌈
今後もできる限り有益な記事を書いていきますので
よろしくお願いします。
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